トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

北朝鮮核実験後のトランプ政権:マティス国防長官の発言に注目

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(北朝鮮ミサイルの射程距離。出所は防衛白書)

  北朝鮮核実験後の反応を、主に米国を中心に追ってみます。

 トランプ大統領は9月3日の北朝鮮の核実験に対して、以下のようにツィートしました。

 直近のツィートを出てきた順に並べてみます。

北朝鮮核実験後①:トランプツィッター

  【筆者邦訳】

  • 北朝鮮は大きな核実験を行っている。 彼らの言葉と行動は、非常に敵対的で危険なものであり続けている
  • 北朝鮮はならず者国家だ。この国は中国にとって重大な脅威となり、やっかいな存在になった。中国の助けはほとんど成果を上げていない
  • 私が述べたように、韓国も北朝鮮との宥和的な対話は役に立たないことを理解している。北朝鮮に分かるのは、一つのことだけだ
  • 私は北朝鮮について議論するために、ケリー将軍、マティス将軍、ホワイトハウスの他の軍事的な指導者と会う予定だ。
  • 米国はほかの選択肢に加えて、北朝鮮と取引する国との貿易停止を検討している。

  【トランプツィート原文】

  • North Korea has conducted a major Nuclear Test. Their words and actions continue to be very hostile and dangerous to the United States
  • North Korea is a rogue nation which has become a great threat and embarrassment to China, which is trying to help but with little success.
  • South Korea is finding, as I have told them, that their talk of appeasement with North Korea will not work, they only understand one thing!
  • I will be meeting General Kelly, General Mattis and other military leaders at the White House to discuss North Korea. 
  • The United States is considering, in addition to other options, stopping all trade with any country doing business with North Korea.

 トランプ大統領の出現以降、ツィートが国家レベルの意思表示の手段になっています。いつ何時、ツィッターで宣戦布告がなされてもおかしくないのが現状なのです。

「北朝鮮に分かるのは、一つのことだけだ」とありますが、その「一つのこと」が何であるのかが問題です。

 北朝鮮への攻撃に踏み切るかどうかを問われ、トランプ氏は「そのうち分かる」とも述べていました。

「北朝鮮と取引する国との貿易停止」で最も問題になるのは中国とロシアですが、ムニューシン米財務長官は9月3日にFOXニュースにて北朝鮮への全面禁輸に向けた制裁措置をトランプ大統領に提案することを明かしています。

北朝鮮核実験後②:マティス国防長官の発言

 また、国防総省では、前掲のツィートに出てきたトランプ大統領とマティス国防長官らの会談の内容が公にされています。

マティスとダンフォードによる北朝鮮に取りうる軍事作戦への説明」(”Mattis, Dunford Brief President on Military Options Available to Deal With North Korea” By Cheryl Pellerin)と題した記事です。

  • 【ワシントン9月3日】ーージム・マティス国防長官は、北朝鮮による大規模な核実験が行われた同日午後、ホワイトハウスで記者会見を行った。金正雲の挑発に対処する軍事的選択肢は数多くあることをトランプ大統領に説明したことを明かした。
  • マティス国防長官とダンフォード合同参謀本部長らは声明を発表。
  • 午後11時30分頃(※米国時間)、米国地質調査所(NASA)によれば、米国地質調査所の震災ハザード・プログラムが過去に北朝鮮が核爆発を起こした場所のそばでマグニチュード6.3の爆発を検出した。そこは北朝鮮のSungjibaegam東北東方面(各紙報道では「北朝鮮豊渓里付近」)から約13マイルの距離にある。
  • 地震探知に特化した他機関や団体も爆発と地震の痕跡を報告した。
  • 朝鮮中央通信は、北朝鮮の科学者が大陸間弾道弾に搭載する弾頭用に建設された水素爆弾の実験場で、二段熱核兵器を実験したと発表した。
  • メディアの報道によれば、このテストは、過去六度の中で最も強力だったと言われているが、水素兵器の力はまだ公式には測られていない。
  • WASHINGTON, Sept. 3, 2017 — Defense Secretary Jim Mattis, standing in front of the White House this afternoon after the latest and largest nuclear test carried out by North Korea, said the United States has many military options for dealing with Kim Jong Un's provocations and that President Donald J. Trump wanted to be briefed on each one.
  • Marine Corps Gen. Joe Dunford, the chairman of the Joint Chiefs of Staff, joined Mattis for his announcement.
  • At about 11:30 p.m. EDT last night, the U.S. Geological Survey's Earthquake Hazards Program detected a magnitude 6.3 explosion, about 13 miles east-northeast of Sungjibaegam, North Korea, located near the site where North Korea has detonated nuclear explosions in the past, according to a USGS statement.
  • Other institutions and organizations specializing in seismic detection also reported the explosion and resulting seismic signature.
  • The Korean Central News Agency announced that North Korean scientists had carried out a test in the country's northern nuclear test ground of a hydrogen bomb built to sit on top of an intercontinental ballistic missile, describing the device as a two-stage thermonuclear weapon.
  • Media reports say that the test was the most powerful of the six, but there is no official measurement yet of the force of the hydrogen weapon.

  【断固たる決意表明】

  • マティスは大統領に対して、米国は自国と同盟国(韓国と日本)を攻撃から守る能力があることを明らかにした。
  • 国防長官は「同盟国間の約束は厳しいものだ」と付け加えた。「グアムを含む米国領土や同盟国へのいかなる脅威も有効かつ圧倒的な大規模軍事反撃に見舞われる」と述べた。
  • この核実験は2006年以来北朝鮮の6番目の試験だ。
  • 昨日に試験されたのは水素爆弾と呼ばれる核融合爆弾だった。第二次世界大戦で広島と長崎に落ちた核分裂兵器は原子爆弾と呼ばれている。
  • Martin E. Hellman(スタンフォード大学教授)の2012年の論文によれば、水素爆弾の主な要素は、二次的な核融合反応を起こすために用いられる爆縮核分裂兵器である。
  • フロリダのパトリック空軍基地にある空軍技術応用センターは、外国の核爆発による技術データを検出して報告することを使命とする唯一の連邦組織だ。 同センターは、空軍の最大のセンサーネットワークである米国原子力検出システム(3600センサーの核イベント検出装置のグローバルネットワーク)を運用・維持している。
  • 地下、水中、大気もしくは宇宙で外乱が検出されると、その事象は核探知のために分析され、その結果は各国の指揮官に報告される。

  【Ironclad Commitment】

  • In his remarks, Mattis said they had made clear to the president that the United States has the ability to defend itself and its allies -- South Korea and Japan -- from any attack.
  • "Our commitments among the allies are ironclad," the secretary added. "Any threat to the United States or its territories, including [the U.S. territory of] Guam or our allies, will be met with a massive military response, a response both effective and overwhelming."
  • This nuclear test was North Korea's sixth since 2006.
  • The weapon tested last night was a fusion bomb, also called a hydrogen bomb or thermonuclear weapon. Fission weapons, such as those that fell on Hiroshima and Nagasaki in World War II, are sometimes called atomic bombs.
  • In a hydrogen bomb, according to a 2012 paper by Martin E. Hellman, a Stanford University professor, a primary element is an implosion fission weapon that is used to ignite the secondary fusion reaction.
  • The Air Force Technical Applications Center at Patrick Air Force Base in Florida, is the only federal organization whose mission is to detect and report technical data from foreign nuclear explosions. The center operates and maintains a 3,600-sensor global network of nuclear event detection equipment called the U.S. Atomic Energy Detection Systems, the largest sensor network in the Air Force.
  • Once a disturbance is detected underground, underwater, in the atmosphere or in space, the event is analyzed for nuclear identification, and the findings are reported to national command authorities.

  【共同声明】

  • 今日の午後、マティスは金正雲は国連安全保障理事会の共同声明に留意すべきだと述べた。
  • 「全ての国が北朝鮮の脅威に全面的に合意し、朝鮮半島非核化へのコミットメントに全員一致している」と述べた。
  • 「私たちは、北朝鮮を全滅させることを目指しているわけではないが、私が述べたように、そのための選択肢は数多くある」とマティス氏は付け加えた。
  • 国連安全保障理事会は、明日の朝、核実験についての会合を開くことを発表した。

  【Unified Voice】

  • This afternoon, Mattis said that Kim Jong Un should take heed of the United Nations Security Council's unified voice.
  • "All members unanimously agreed on the threat North Korea poses, and they remain unanimous in their commitment to the denuclearization of the Korean Peninsula," he said.
  • "We are not looking to the total annihilation of a country, namely North Korea. But as I said, we have many options to do so," Mattis added.
  • The U.N. Security Council announced that it will have a meeting about the nuclear test tomorrow morning.

北朝鮮核実験後③:中国はBRICS首脳会議前の恥さらし

 トランプ大統領は北朝鮮が中国の顔に泥をぬったと見ていますが、9月3日は、中国が主催する新興5カ国(BRICS)首脳会議の開幕直前日でした。

 北朝鮮は2017年5月に北京で開催された「一帯一路」国際会議の開幕日にも弾道ミサイルを発射しています。

 中国はメンツをつぶされた形になりました。

 今後、中国が、日米が提唱する北朝鮮への石油禁輸措置に踏み込むのかどうかが注目されます。

 しかし、この措置の意味合いは、第二次世界大戦で米国が日本に行った石油禁輸措置と同じです。石油が止まれば、北朝鮮軍は動けなくなるので、同国が最後の暴発に出る可能性も含んでいると言えます。

 結局、米国が攻撃を開始しても戦争は起きますし、中国が本格的に禁輸しても戦争が始まる危険性があります。

 ただ、中国としては、米国から貿易禁止を食らいたくないので、表向きに禁輸したふりをしてみせて、非公式ルートで石油を流したりするのかもしれません(過去、非公式で北朝鮮と中国との輸出入がなされていたことはよくありました)。

 産経ニュース(9/3)は今後の中国の動向について、以下のように報じています(金正恩氏は習近平氏の顔に3度泥を塗った BRICS開幕日の核実験、中国権力闘争に影響も

 習氏としては、10月18日開幕の党大会が終わるまで時間稼ぎをする必要に迫られている。米国の軍事行動を阻止するための外交活動を展開しつつ、北朝鮮には有事の際の中国の軍事支援を当てにしないようシグナルを送り続け、暴発を抑止しようとするとみられる。

 党機関紙、人民日報系の環球時報は8月中旬、(1)北朝鮮が米領を脅かす弾道ミサイルを発射し、(米国の)報復を招いた場合、中国は中立を保つ(2)米韓が軍事攻撃により北朝鮮の政権転覆や朝鮮半島の勢力図の変化を試みた場合、中国は断固として行動し阻止する-ことを主張した。

  今後、従来の「常識」が崩壊し、東アジアの地図が変わる可能性が高まってきました。