トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

輝照塾(日本ファーストの会)に賭けた小池百合子都知事の戦略

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(新宿御苑。出所はWIKI画像。筆者トリミング)

 小池都知事は9月1日に前原誠司氏の民進党代表の就任を祝いました。

  • 「野党の役割をしっかり果たすことを期待したい」
  • 「今後どのような人事になるのかなども注視したい」
  • 「政策的にこれから何を目指すのか、(前原氏が)代表選の最中に言っていたことを整理できていないが、手をつなげられるところは、国会で連携していかれれば良いと思う」

(THE PAGE〔小池知事、前原新代表に「手をつなげられるところは国会で連携できれば」2017/9/1)

 小池氏と前原氏は、90年代に「日本新党」で同じ党に所属する仲間でした。また、前原氏も代表選の間に小池氏との連携に意欲を示しています。

 そのため、今回は小池氏の「日本ファーストの会」(「輝照塾」)について焦点をあててみます。

日本ファーストの会の支持率

 現在、民進党の勢いはふるわず、また、小池氏が若狭勝議員を通して発足させた政治団体「日本ファーストの会」のほうも、「都民ファーストの会」ほどの勢いがないとも見られています。

 日本経済新聞社は8月27日に、政治団体「日本ファーストの会」についての世論調査の結果を発表しました(【日本ファーストの会、「期待しない」48% 本社世論調査】)

 その要旨は以下の通りです。

 ★全体の累計

  • 「期待する」:42%
  • 「期待しない」:48%

 しかし、グループ別に見ると、多少、数字が異なるようです。

 ★内閣不支持層

  • 「期待する」:49% 
  • 「期待しない」:42%

 ★無党派層

  • 「期待する」:41%
  • 「期待しない」:42%

 ★女性(※男性は「期待しない」が54%)

  • 「期待する」:42%
  • 「期待しない」:40%

「日本ファーストの会」の人気は今一つなのは「二匹目のどじょう」を狙っていることや、都知事である小池氏が国政に力を注げば、都政がほったらかしになることが、誰にも分かるからでしょう。

 31日で輝照塾の応募が終わったので、同塾の概要や「日本ファーストの会」の構想、小池氏の経歴と政治手法等を概観してみます。

輝照塾(日本ファーストの会)とは

 輝照塾の内容は「希望の塾」とよく似ています。

 基本的には都政向けだった塾の構成を国政向けにリニューアルしたものだとみてよいでしょう。

 そのサイトに掲載された情報の概要は以下の通りです(出所:輝照塾 | 日本ファーストの会

  • 講義内容は「国政」が中心(行財政改革、国と地方、外交・安全保障、経済・財政制度」など)
  • 1回の中で講義、グループディスカッション・論文作成等が入る
  • 受講料は入塾選考料2000円。入塾金14000円。受講料36000円(全6回分)
  • 第一期は2017年9月~2018年2月(予定)
  • 応募資格は25歳以上(2017年8月31日時点)の日本国籍保有者
  • 申込締切は2017年8月31日必着

 そして、輝照塾の「規約」には「都知事選で「有権者は「東京大改革」を掲げる小池百合子氏を支持、当選させた」こと、都議選で「「都民ファーストの会」による公認・推薦を受けた多数の者が当選し、都民ファーストの会は都議会第1党となった」ことを前提として、以下のメッセージが書かれています。

 これらはいずれも、情報公開や説明責任の軽視に繋がるいわゆる「しがらみ政治」という古き政治手法が依然として残存する中で、山積する政治・経済・社会上の問題点に対して有効な解決策が示されないまま急速な少子高齢化が進展している現状等を打破し、情報公開を力強く進めながら速やかに抜本的大改革を実現していくべき旨の、多数の有権者の切実な願いの顕れである。

 国政において、こうした有権者の切実な願いに対して応え、日本の政治・経済・社会上の問題点につき抜本的大改革を立案・断行する有為な人材を育成・輩出し、もって、我が国の輝ける未来を照らし出すことを目指し、ここに「輝照塾」を創設する。

 要するに、国政進出の大義名分は小池百合子氏と都民ファーストの会の勝利が基になっています。

 理屈上、小池都知事のもとで都政が破綻したり、都民ファーストの会の議員にまともな仕事ができなかった場合、国政進出の大義名分も崩壊するという構造になっているのが大事なポイントです。

 都民ファーストの会は小池百合子氏の威光で勝ったようなものなので、結局、あとは小池氏次第ということになりそうです。

日本ファーストの会の「政策」とは

 日経朝刊(8月21日付1面)では、来年末までの衆院選を見込んで小池氏側近の若狭勝氏と、民進党を離党した細野豪志氏が8月11日に会談し、新党立上げの試みを議論したことが報じられています。

「9月にも新党を立ち上げたい。勢いにのらないといけない。国会議員10人は集まっている」(若狭勝氏)

 とある議員がそんなことを打ち明けられました。

 若狭勝衆院議員を中心に、細野豪志元環境相、長嶋昭久防衛副大臣、松沢成文参院議員、渡辺喜美参院議員が集い、そこに日本維新の会が連携、支持率8%しかない民進党からも議員が逃げ出すーーそんなストーリーが描かれているわけです。

 ただ、この新党の試みの難しさは、小池百合子氏本人が都政をほったらかして国政に進出するのが難しいということです。日経は「小池氏抜きの『小池新党』では爆発的な人気は期待しにくい」と述べ、過去、橋本徹大阪市長が国政に出ず、日本維新の会が党勢拡大に苦戦した例をあげています。

 さらに、「非自民」の旗を掲げても、それしか結集軸がなければ90年代に挫折した日本新党の試みや、民主党の挫折の繰り返しになりかねません。

 しかし、若狭氏は十分に勝てると考えているようです。 

 若狭氏は31日に締め切られた「輝照塾」への応募者を1000人前後とし、開講までに受講者を200人以下に絞る意向を明かし、目標議席数を54からさらに上方修正しました。

 「新党は保守政党。非自民、非民進の受け皿となるためには、『54』でいいという感じではない。当然それを上回る、二桁の上の方ということになる」(サンスポ〔若狭氏の単独インタビュー 新党目標議席数“上方修正”「二桁の上の方」〕2017.8.31)

  若狭勝議員はアサ芸プラスのインタビュー(2017/8/28)で、その新党構想を説明しています〔若狭勝 小池方式で「二大政党制を目指す」(1~5)〕。 

 その要点は以下の通り。

  • 国民の正しい選択の幅を広げ、それを担保するために二大政党制は絶対に必要だ。
  • 自民党のこれまでの支持者というのは、いわば「消極的支持者」が多いが、ここにきて加計学園問題などで、消極的支持者は自民党に愛想を尽かしている。そうした人たちの「受け皿」が必要だ。
  • (国会議員との協議で)大事なのは、政策の一致。
  • 自民党の「当選回数至上主義」が「しがらみ政治」の象徴。当選を唯一の基準としないと、自分よりも資質、能力、専門性のある人がいたら、地位が脅かされてしまう。
  • 議員は「当選し続けたい」と思った時点で価値が半減する。特に自民党の場合は、公認をもらわなければならないから、言いたいことも言えなくなる。国民目線から考えると、「当選回数至上主義」は本当に問題。
  • 採決の党議拘束も問題。「賛成」「反対」が決まっちゃっているから、議論しても頭で考えてもしょうがない。そのせいで、議員の能力がえらく下がってしまう。
  • (国会議員の)中に入ってみると、しがらみ政治の壁は厚い。外に出てしっかりやらなければだめだ。
  • 大事なのは「活性化した議論」。議論をしないまま誰かが決めて「賛成」「反対」と党議拘束をかけるから、党のガバナンスができない。政党に「一つの枠内」の人が集まっているとすれば、「活性化した議論」をすることによって、政策に関してもおのずと結論が収斂されていく。
  • 新党では少なくとも3分の1は、なるべく政治に関わっていない人を入れる。政治経験がなくても、一つの専門分野において資格や資質がある人を国会議員にしたほうが活性化する。
  • 専門家だからみんな思うとおりに発言し、そういう人たちに触発されて、今までものが言えなかった人もちゃんと言えるようになる。 

 このインタビューでは輝照塾の塾生を募集中なので、政策の中身を明確にすることができない、ということが述べられています。そして、前掲の若狭氏の発言では、主に自民党の「しがらみ政治」の批判と、「話し合い」の大切さを論じることに終始していました。

 集まった顔ぶれを見てから「政策」を公にするのかもしれませんが、筆者は、その発想に怪しいものを感じています。

 政党は、普通、「国民のためにこうした政策が必要だ」⇒「賛同者は集まってほしい」⇒「国民の皆様、宜しくお願いいたします」という過程を経て発展を目指します。

 しかし、「日本ファーストの会」の場合、「小池氏が新党を立ち上げます」⇒「賛同者は集まってほしい」⇒「政策を明らかにします」⇒「国民の皆様、宜しくお願いいたします」という順番です。

 この場合、初めにあるのは小池氏の顔であり、政策ではありません。

 要するに、ここに集まってくるメンバーは、政策を実現するために集まった人々ではなく、国民の人気を得る「顔」となった小池氏に「用」があって集まった人々です。

 ここで出てくる「政策」は、「国民に必要な政策であるかどうか」ではなく、「小池新党が勝つための選挙戦略上、有効な政策かどうか」という基準で選別されたものに限定されるでしょう。

 初めに「国民に必要な政策」を打ち出して立党するタイプの新党と、小池新党とは大きな違いがあるといわざるをえません。

小池百合子都知事の経歴

 今後の未来を伺うカギは、小池百合子氏の経歴の中に隠れています。

 そのため、この経歴を振り返ってみましょう。

 小池百合子氏(1952年7月15日生)は1971年にエジプトへ留学し、カイロ大学を卒業後、通訳となります。若いころは、日本テレビ『竹村健一の世相講談』(1979~1985年:アシスタントキャスター)やテレビ東京『ワールドビジネスサテライト』(1988~1992年:メインキャスター)等で活躍しました。

 その後、1992年の参院選で細川護熙氏(熊本県知事)がつくった日本新党から出馬(比例区)して初当選。この頃、小池氏は「政治を変えるには大きな中古車を修理するのではなく、小さくても新車の方がいい」と述べていました。当時は、リクルート事件や佐川急便事件等が起き、金丸信氏が逮捕され、汚職を正す「政治改革」が叫ばれていました。これに対して、小池百合子氏が参加した日本新党は「金権政治」を払しょくし、「クリーンな政治」をもたらすことを旗印にしていました。

 25年ほど前の話ですが、小池氏の原点が意外と現在の活動に近いことに驚かされます。当時の小池氏も、自民党を守旧勢力と見立てて戦っていたのです。

 小池氏は1993年に参院議員を辞職し、同年に衆院選(旧兵庫2区)に鞍替え当選。

 しかし、日本新党や新生党(小沢一郎氏が主導)、公明党、社会党、新党さきがけ等でつくられた連立政権はもろく、日本新党のブームは短期間で終わります。

 細川氏は「政治腐敗」防止のために政治資金規正や小選挙区制度を導入する”政治改革”の旗手でしたが、細川自身の佐川急便借入金未返済疑惑が野党・自民党に追及され、あえなく退陣しました。

  当時、小池氏は「自民党政治に戻さないことが大切」と述べ、日本新党解党後、小沢一郎氏率いる新進党に参加しています。小池氏は小沢氏の広報活動を担い、メディアでのPR面等についてアドバイスしました。小沢氏のネクタイや洋服を選んだりしていたと言われています。

 1996年の衆院選では兵庫6区から出馬し、小池氏は再選されました。

 当時、新進党と公明党は強く結託していました。

 現在、都民ファーストの会と公明党は連携していますが、この構図は新進党と公明党との連携を思い起こさせます(公明党と手を組んだのは自民党も同じですが)。

 小池氏は「新進党の結成はペリー、マッカーサーに続く第3の黒船である」という大げさな台詞を述べましたが、新進党は短命に終わり、解党。小沢氏は自由党を立ち上げ、小池氏はそこで有力議員の一人となります。

 自民党政権ができると、自由党は協力し、小池氏は1999年に経済企画政務次官となりました。

 しかし、自民党と自由党の関係が悪化し、2000年には自由党が分裂しました。政権離脱の場合も一致した行動を取ることを小沢氏に求められましたが、二階運輸相らと共に、連立政権にとどまります。小池氏は扇千景氏が率いる保守党に参加しました。

 2002年には保守党を離党し、今度は自由民主党に入党。選挙結果がふるわず、保守党は同年に解党しています。

 反自民で連立政権を立ち上げたころから小池氏は小沢氏と接点があり、90年代後半には細川氏を見切り、小沢氏を支援していたわけです。

 よく見ると、小池氏の手法は、小沢氏と似ている一面もあります。

「都民ファースト。都民の暮らしが第一」という主張は「国民の生活が第一」という小沢一郎氏のフレーズとよく似ています。もう少し上品に言い換えたわけです。

 そして、反自民で対抗勢力を結集すると、公明党との距離が近くなります(政権維持のために公明党と組むという手法は小沢氏から始まり、のちに自民党に踏襲されています)。今回の都議選で小池氏が連携相手として最重視したのが公明党だったのは周知の事実です。

 小池氏の路線は民進党ともかなりの割合で一致し、築地再整備等では、部分的に共産党とも手を組める余地があります。昨年、豊洲の盛り土がないことを発見したのは共産党だったので、小池氏は、これに便乗してもいました。

 小沢氏の特徴は、自民党から政権を奪還するためには、社会党等の左派陣営との連携もいとわないことです。政策よりも政争を重視した戦い方ですが、小池氏にも似たような一面があると思うのです。

 小池氏の戦い方は小泉純一郎氏だけでなく、小沢一郎氏との共通点があります。

 小池氏=元自民党員というイメージがあるので、彼女が自民党に入るまでにやってきたことのほうはあまりチェックされていないのかもしれません。古すぎて忘れられているのでしょう。

 小沢一郎氏を見放し、自民党員となった小池氏は2003年に「他にいい候補がいないから」として、自民総裁選で小泉純一郎氏を支持します。

 同年には小泉政権の改造内閣で環境大臣となり、後にクールビズ等を宣伝しています。

 この年の衆院選では、比例近畿ブロック単独で立候補し、4選。その後、内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)を兼任するようになります。

 2005年には郵政民営化に反対した小林興起に対する「刺客」として東京10区にお国替えをします。ここでようやく地元が東京になったわけです(衆院選で5選)。

 当時、小泉に手づくり弁当をふるまったことが報じられるなど、両氏の仲は非常によかったようです。

 そのせいか、昨年以来、小泉氏のメディア重視の劇場型政治が、現在、小池都政で再現されています。

 昨日、池上彰氏が小池百合子氏に 「小池チルドレンが大量当選で心配ない?」と尋ね、専門的な人材が揃っているので大丈夫だと答えていましたが、今後の前途がどうなるかが気になるところです。

 2006年に発足した第一安倍政権で内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)に任命され、その後、2007年7月に防衛大臣となりました。ただ、8月下旬に辞任してしまうので、小池氏が長く務めた大臣は環境相です。

 豊洲移転に際しての環境審査の厳格化等、小池都政には、環境大臣としての経験が色濃く反映されているとも言えます。

 その後、第一次安倍政権で防衛相になりますが、8月24日にイージス艦機密情報漏洩事件をもちだし、「防衛省内で誰も責任を取っていない。私は責任を取りたい」と述べて辞任しました。

(ただ、この事件が起きたのは前任者の時代なので、小池氏が責任を取るというのは、意味不明な話です)

 2008年9月、福田康夫首相の辞任に伴って行われた自民党総裁選挙に立候補。3位の得票だったので、それなりの支持者を集めていました。

 この頃、小沢一郎氏に対して「生活が第一と言いながら、『政局が第一』という人」と批判していますが、筆者には現在の小池氏も「都民ファーストと言いながら、政局が第一」になってしまっているように思えてなりません。

 その後、麻生政権ではチャンスが来ず、2009年の衆院選では民主党新人の江端貴子氏に敗れ、重複立候補した比例東京ブロックで復活当選しています。野党時代には谷垣総裁の下で党広報本部長を務め、2010年9月の党役員人事で総務会長に就任しました。自民党で女性議員が総裁選に出るのも総務会長になるのも初めてだったので、日本版の「ガラスの天井」に挑戦し続けているとは言えます。 

 しかし、2012年では安倍総裁の勝利を予見できず、ながらく冷や飯が回ってくることになりました。

 それに耐えかねたのか、16年に都知事選に乾坤一擲の勝負を挑み、当選したわけです。 

小池百合子都知事の戦略

 経歴を見ていくと、自民党入党以前に小池氏が所属した政党は、すべて消滅しています(日本新党、新進党、自由党、保守党)。細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎、安倍晋三と時の権力者・実力者の周辺を渡り歩いてきたことで、小池氏は「政界渡り鳥」という異名を得ました。

 ただ、小池氏は渡り鳥であることを止め、自分自身が実力者となるべく、昨年以来、都知事として影響力を発揮し始めています。今、まさにその真価が問われているわけです。

 よく見ていくと、その政治手法には小沢一郎氏と似た一面もあります。

 小泉チルドレンと小池チルドレンという対比でみるだけでは、小池氏の底にあるものが見えないので、小池氏が過去、「かついだ」人たちから何を学んだのかをしっかりと注視すべきでしょう。

 小池氏の政治手法には、現在は、小泉政権の「劇場型政治」と「環境相時代の経験」が色濃く反映されていますが、これで都政を掌握した後には、小沢氏をかついだ時に学んだ政治手法が「第二波」として表に出てくる可能性があります。いくつかの政党を糾合して反自民の連立政権を築いた頃の遺伝子が、今後の小池氏の活動に反映されてくる可能性が高いわけです。

 それはすでに「日本ファーストの会」として具体化してきています。

 小沢氏の最大の”発明”は、矛盾する政策を持つ議員を反自民という名目で同じ政党に囲うことでした。これは、小沢一派が民主党に流れ込んできた後に本格化します。

 そして、現在の「日本ファーストの会」は政策を始めに公にせず、賛同者をつのっています。小池都知事という「顔」と非自民勢力である点の二つをPRしているわけです。

 この手法は「政策は後回し」(前節を参照)という点が、過去の民主党のスタイルと非常によく似ているのです。

 今後、小池氏は、公明党や民進党と手を組み、部分的には共産党の力を借りながら、自民党に対抗しうる政治勢力をつくることを狙ってくるでしょう。

 都政ではもはや自民党は一野党に転落したので、”邪魔者”はいなくなりました。小池都知事が都の行政を、都民ファーストの会(+公明党ほか)で都議会を制した後、同氏は国政への意欲を露わにし始めています。

 そのために、オリンピックというのは絶好のチャンスです。小池氏は橋下徹氏以上に有利なポジションを手にしています。オリンピックをこなした都知事という名声を得れば、かつての細川護熙氏のように、知事から国政に向かい、「政治改革」をうたう指導者として台頭できるからです。

 今後、小池氏の学んだ政治手法は以下の順番で出てくるのかもしれません。

  1. 都知事選勝利のために保守政治家として自民支持層にPR(安倍首相以降に学んだ保守カラー)
  2. 劇場型政治で都民の人気を博し、都議会選に勝利(小泉首相から学んだ議会制圧法)
  3. 非自民の旗を掲げ、左派陣営と共闘。一大政治勢力をつくる(小沢一郎氏と同じく政党間バトルを展開?)
  4. 都政から国政に再進出、ポスト安倍を狙う(細川護熙氏と同じく「政治改革」をPR?)

 現在、1と2までが現実化しました。残りの3と4が実現するかどうかが、今後の問題です。

 ただ、小池氏には「豊洲移転+築地再整備プラン」など、実現の道が厳しい政策もあります。PR戦に勝っても、都政のかじ取りに挫折すれば、民主党政権のように、高支持率でスタートを切っても墜落する可能性があります。

 鳩山首相は普天間飛行場の県外移設に失敗し、国民の支持を失いましたが、小池都知事も、豊洲移転+築地再整備プランで失敗した場合は、かなりのダメージを受けるはずです。

 結局、あとは現実の都政がうまくいくかどうかの問題だと言えます。