トランプ政権と日本・アジア 2017

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世論調査で占う総選挙 9月解散の理由とは

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(出所はWIKI画像。アメリカ製マイク)

  安倍首相の支持率が最近、産経新聞(+FNN)の調査で43.8%に上昇したことが明かされました。

 しかし、安倍三選と「憲法改正」の見通しが立たないためか、最近は「安倍応援団」の熱意も下がっているともいわれています。

 内閣改造⇒支持率回復というのは、過去、繰り返されたありきたりなシナリオなので、国民も飽きてきたのかもしれません。

 今回は、世論調査を参考に、安倍政権の未来図について考えてみます。

世論調査①:産経+FNNで安倍内閣支持率43.8%

 8月19日と20日に行われた「産経・FNN合同世論調査」の内容をざっと紹介してみます。

(産経ニュース「内閣支持率43・8%、4カ月ぶり上昇 不支持率は49% 自民33%に回復、民進微減7%」2017.8.21)によれば、結果は以下の通りです。

  • 安倍内閣支持率:43.8%(+9.1ポイント)
  • 安倍内閣不支持率:49%(-7.1ポイント)

 そして、政党の支持率は以下の通りでした。

  • 自民党:33%(+3.9ポイント)
  • 民進党:6.9%(-0.1ポイント)
  • 共産党:3.9%(-0.7ポイント)
  • 公明党:3.1%(-2.2ポイント)
  • 日本維新の会:2.9%

 内閣改造については、以下の評価でした。

  • 「評価する」:42.9%
  • 「評価しない」:47.4%
  • 野田聖子総務相ら自身と距離を置く勢力の入閣:62.8%が「評価する」

 安倍内閣の支持率は回復しましたが、今一つ勢いがありません。

 特に民意の表れに見えるのが、野田氏らの入閣を評価する人々の数の多さです。6割という数字が、朝日新聞や毎日新聞、東京新聞ではなく、産経新聞の調査で出てきていることに注目したいと思います。

 これは、安倍三選を過半数の人々が望んでいないことを意味しているからです。

世論調査②:読売新聞1面で「安倍首相3選望まず」 

 安倍応援団のもう一つは読売新聞ですが、こちらの結果も、安倍首相にとって思わしくありませんでした。

 首相が「熟読」を薦めた読売新聞でも、8月11日付朝刊1面の見出しで〔首相「3選望まず」6割今の総裁任期まで〕と書かれてしまっています。

「安倍首相にいつまで首相を続けてほしいと思うか」を尋ねた結果は以下の通り。

  • 「自民党総裁の今の任期が切れる2018年9月まで」:41%
  • 「すぐに退陣して欲しい」:23%
  • 「党総裁の次の任期が切れる21年9月まで」:16%
  • 「なるべく長く続けてほしい」:14%

 調査元は「読売新聞社と早稲田大学現代政治経済研究所」です。

 そして、これは「郵送方式」(有効回答数1963)の世論調査なので、電話回答のように瞬間的な反応を採る調査ではありません。こちらでは、回答者には書面を見てしっかりと考える時間が取れるのです。

 そこで6割以上が安倍三選を望んでいなかったことには、非常に重要な意味がありました。

 これに関して『週刊ポスト』(2017年9月1月号:P44)は以下のように指摘しています。

 安倍政権に批判的な姿勢を貫いてきた朝日や毎日ではなく、これまで安倍政権の動きをことごとく予見・的中させてきた読売が報じた衝撃は大きい。

「読売と早大の調査は自民党が東京都議選に惨敗した直後の7月3日から内閣改造後の8月7日までが調査期間だった。安倍政権がどんどん求心力を失っていくタイミングで調査が実施され、結果が1面を飾ったことで、“安倍政権は本当に長続きしそうにない”との印象はいよいよ強くなった」(大手紙社会部記者)

  この調査を契機に安倍離れが始まっているというわけです。

 当然ながら、反安倍陣営の調査では、すでに厳しい数字が並んでいます。

(参考:毎日新聞の7月下旬世論調査では18年9月の総裁2期目終了時で安倍首相が「代わった方がよい」とする回答が62%。時事通信が8月3~6日に実施した世論調査も安倍三選に反対が51.8%)

 週刊ポスト記事では、安倍三選の可能性が消えたことと軌を一にするように、メディアが岸田文雄氏を「ポスト安倍」の代表として祭り上げ始めたことや、仕事に身が入らなくなった安倍首相が広島の慰霊式で長崎とまったく同じ「コピペ」の挨拶文を読み上げたことなどが紹介されています。

 そして、この改造内閣を泥船内閣と評し、安倍首相が組閣のために指名した人材に次々と入閣を断られた話を生々しく紹介しました。

「総理が白羽の矢を立てた大臣候補に次々に断られ、組閣本部ではA4判の紙に書かれた名前がどんどんバツで消され、1枚じゃ足りなかった」(自民党元役員)

 この改造内閣は次の政権へのつなぎの内閣と見られているわけです。

 確かに、そう考えると、次の総裁選に出ると言いながら総務相に就任した野田聖子氏の不思議な言動や、本来、対立する河野太郎氏の外相就任、岸田文雄氏が入閣ではなく政調会長入りを希望したことなど、全ての説明がついてきます。

 みんな「改造内閣で頑張ります」と言いながらも、実際は、安倍の次を虎視眈々と狙っているわけです。

世論調査と解散・政権交代の不幸な関係

 安倍改造内閣の前途はかなり厳しいと見られています。

 そのため、「長くやっても大した支持率向上は見込めない。だから、適度に支持率が上がり、野党の準備が整う前に解散総選挙だ」という声が出てきています(「9月22日衆院解散・10月22日総選挙」説)

 今後、支持率が下がった場合には、安倍首相に首相交代の圧力がかかってくるでしょう。

 参考までに、歴代政権の支持率推移をあげると、交代前は、以下のような数字でした(数字は朝日新聞調査)。

  • 第一次安倍政権:63%⇒33%
  • 福田康夫政権:53%⇒25%
  • 麻生太郎政権:48%⇒19%
  • 鳩山由紀夫政権:71%⇒17%
  • 菅直人政権:60%⇒15%

 現在の安倍政権の支持率は43.8%。麻生政権の支持率と近いようです。

 麻生政権ができた頃は、「支持率が高い間にさっさと解散したら」と言われていたので、状況は似ています。

 支持率が高い間に解散すれば、「安倍政権」は延命できるというわけです。

 しかし、高い支持率ではないので、憲法改正のために三分の二の議席はとれません。

 これは「憲法改正は断念。安倍政権は延命」という選択肢です。

 そのほかには、岸田文雄氏に首相の座を譲るという選択もありえますが、岸田氏自身が憲法改正に関しては慎重派なので、この場合も、憲法改正はなかばあきらめざるを得ません。

 憲法改正断念という点は同じですが、前者には、安倍首相にとっては「延命」というメリットがあるという見方も出てくるわけです(来年以降の追い込まれ解散になると、議員数減少のダメージが拡大しすぎるため、今のうちに解散を図るのではとも憶測されている)。

世論調査次第で9月解散が起きる?

 結局、安倍政権は世論調査の魔力に取りつかれてしまいました。

 なぜそうなったのでしょうか。

 その理由が昔の『選択』(2011年8月号:P110)に書かれていました。 

「選挙の際は民主党(当時)も自民党も億単位のカネをかけて選挙区ごとの情勢調査を実施するが、通常時の内閣支持率などは独自調査をほとんど行っておらず、頼りとするのは報道各社の世論調査」(全国紙の官邸担当記者)

 与党といえども、選挙前はいざ知らず、平時に月一の世論調査などは実施できない。

 だから、結局、世論調査のご託宣が必要になります。「民の声は神の声」というわけです。

 果たして、安倍政権は「9月22日衆院解散・10月22日総選挙」に踏み込むのでしょうか。

 早期解散が有力だとする説の根拠には、以下の5点が挙げられています。

  • 小池新党(国民ファースト)が国政選挙の準備前に選挙すべき
  • 枝野氏と前原氏のどちらが民主党代表になっても求心力はない
  • 内閣改造で支持率が上がった間に勝負すべき
  • 衆院の愛媛3区や青森4区の補選で敗れると安倍おろしが加速する
  • 来年以降になると追い込まれ解散となり、勝負は厳しい

 こうしてみると、9月解散・10月総選挙の可能性も無視できません。

 筆者は、自民党が議席を減らしてまで解散しないのではないかと考えています。

 しかし、それがなされるかどうかは、世論調査の「ご託宣」次第なのかもしれません。

世論調査で支持率4割台に 安倍首相は9月解散を決断(追記)

 9月16日頃に安倍首相が10月下旬の総選挙を決断したことが報じられました。

 各紙報道では「10日公示―22日投開票」が多数派を占めています。

 NHK選挙WEB(9月8日~10日調査)は「安倍内閣支持44% 不支持36%」と報じました。 

  • 政権支持率:48%(6月)⇒35%(7月)⇒39%(8月)⇒44%(9月)
  • 政権不支持率:36%(6月)⇒48%(7月)⇒43%(8月)⇒36%(9月) 

 政党別支持率は以下の通り(8月⇒9月)。

  • 自民党:34.8%⇒37.7%
  • 民進党:5.7%⇒6.7%
  • 公明党:3/7%⇒3.1%
  • 共産党:2.8%⇒2.6%
  • 日本維新の会:0.5%⇒1.1%
  • 自由党:0.3%⇒0.3%
  • 社民党:0.9%⇒0.5%
  • 日本のこころ:0.2%⇒0%
  • その他:0.5%⇒0.2%
  • 支持なし:45.7%⇒40.8%
  • わからない、無回答:4.8%⇒7.1%

 安倍政権は野党の体制が整わない間に解散に踏み切ったとみるべきなのでしょう。

(当ブログ関連記事:【9月解散】青木率で占う衆院選の行方 投票日は10月22日?