トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

【2017年上半期ベストセラー】ランキングとヒットメーカーの本音を探る

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(出所はWIKI画像)

  今回はベストセラーについて書いてみます。

 お盆休みに入ってきたので、夏休みの読書特集をしようと思ったのですが、筆者はへそ曲がりなので、みんなが取りあげるような上位ランキング本記事ではなく、独自路線の記事を書くつもりでいます。

2017年上半期のベストセラーランキング(1~20位)

  さて、2017年上半期のベストセラーは以下のランキングとなりました。

  • 1位『九十歳。何がめでたい』佐藤愛子(小学館 1296円)
  • 2位『騎士団長殺し(1・2)』村上春樹(新潮社 1944円)
  • 3位『蜜蜂と遠雷』恩田陸(幻冬舎 1944円)
  • 4位『ハリー・ポッターと呪いの子』J.K.ローリング(静山社 1944円)
  • 5位『伝道の法』大川隆法 (幸福の科学出版 2160円)
  • 6位『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』Eiko(サンマーク出版 1404円)
  • 7位『はじめての人のための3000円投資生活』横山光昭(アスコム 1188円)
  • 8位『応仁の乱』呉座勇一(中央公論新社 972円)
  • 9位『君の膵臓をたべたい』住野よる(双葉社 1512円)
  • 10位『コンビニ人間』村田沙耶香(文藝春秋 1404円)
  • 11位『鴻池剛と猫のぽんた ニャアアアン!(2)』鴻池剛 (KADOKAWA 1080円)
  • 12位『コーヒーが冷めないうちに』川口俊和(サンマーク出版 1404円)
  • 13位『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』ケント・ギルバート(講談社 907円)
  • 14位『えんとつ町のプペル』西野亮廣(幻冬舎 2160円)
  • 15位『か「」く「」し「」ご「」と「』 住野よる(新潮社 1512円)
  • 16位『ざんねんないきもの事典』今泉忠明ほか(高橋書店 972円)
  • 17位『いのちの車窓から』星野源(KADOKAWA 1296円)
  • 18位『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』岸見一郎、古賀史健 (ダイヤモンド社 1620円)
  • 19位『自分でできる!筋膜リリースパーフェクトガイド』竹井仁(自由国民社 1512円)
  • 20位『君の名は。』新海誠、ちーこ(KADOKAWA 734円)

(出所:年間ベストセラー | ベストセラー一覧 | 日本出版販売株式会社

 これは日販が約3000軒の書店POS販売データを基に販売状況を総合的に勘案して作成したものです。集計期間は「2016年11月26日~2017年5月25日」とされています。

ベストセラーは本当に面白いのか?

 内容を見ますと、本年に93歳になる佐藤愛子氏の『九十歳。何がめでたい』がトップになりました。

 これは高齢化社会の進展のためでしょうか。

 二位の村上春樹氏の小説は、相変わらず、何が言いたいのかようわからん題名・・・。

 三位の『蜜蜂と遠雷』は「第156回 直木賞」と「2017年本屋大賞」の受賞作です。日版は40~70代の女性が数多く読んでいると公表していましたが、筆者にとってはやや関心外。

 率直な感想を言えば、ベストセラーランキングと筆者の関心はかなり離れているので、熱心に論評する気が失せてきます。

 出版される本が多すぎるので、筆者も含めた現代の読者は何を読んでよいのかが分からなくなってきています。

「どれがお勧めなの?」と聞き、「ベストセラーはこれです」と言われても「そうかな~」という疑問が湧いてくる。

 結局のところ、よく分からないので、ドラマの台本になったり、広告が新聞やネットで目に触れたりした本のなかから、各人が自分の嗜好に合わせて適当に本を買っていったりしているのではないでしょうか。 

 質の問題もありますが、売れるかどうかには「宣伝」がかなりのポイントを占めているように思えてなりません。

ベストセラーの作り手の本音を探る

 では、ベストセラーの作り手のほうは何を考えているのでしょうか。

『編集者という病』という本をみますと、そこではベストセラーを連発した幻冬舎社長の見城徹さんのアイデアがいろいろと書かれていました。

 見城さんは以下のベストセラーの企画・編集に関わっています。

  • 『弟』(石原慎太郎)
  • 『ダディ』(郷ひろみ)
  • 『13歳のハローワーク』(村上龍)
  • 『新・ゴーマニズム宣言・戦争論1 - 3』(小林よしのり)

 『編集者という病』では1975年に角川書店に入社し、1993年に幻冬舎を設立。その後の歩みが書かれています。

  本のコピーは「ヒンシュクは金を出してでも買え!」

 さらに「僕はこうやって生きてきた。いや、こうやってしか生きられなかった。」という文が続きます。

 ある意味では炎上商法的発想が感じられます。

 本人のコメントを見ますと「人の精神という<生もの>と仕事をする」ことを重視しています。

 表現者(作家など)と延々と付き合い、一緒に飲んだり食ったりします。

「3時4時、いや6時7時までひたすら飲む」

 独身時代を回想し、「20代30代で午前3時前に家に帰ったことなんか滅多になかった」と述べています。

 その後、そのまま会社に出勤し、「午前中は会社にだれも来ていないから手紙を書いたりゲラを読んだり本を読んだり」していました。午後には打ち合わせをしていたそうです。

 編集者は作家との人間づきあいも大事なわけです。

 ただ、見城さんは自分が売り出す表現者への入れ込み具合がすごい。

 尾崎豊をデビュー時から引き立てる。麻薬で逮捕された後に復活させる。復帰アルバムをオリコンナンバーワンにする。

 金目当てではそこまではやる気にはなれません。

 暴れる音楽家の相手を延々とやり続けるわけですから、かなりハイリスクな話です。そして、リターンはあるのかどうか分かりません。

 そこまで入れ込まないと表現者の「本音」を掴み、ぐっと引き出して記事にするのは難しいと述べています(見城氏は尾崎記事の編集者でした)

 結局、自分が惚れ込んだものにひたすら入れ込んだことがベストセラーにつながっているようです。

 見城氏は「出版不況」論にはくみしません。

「要はどれだけ読者の胸にしみこむか。漱石がなぜ読みつがれてきたか。おもしろいからです。おもしろいという視点が出版社から抜け落ちた瞬間に、活字は硬直化するんです」(P222)

 筆者ブログも硬直化してきているかもしれません。

 気を付けたいところですが、たしかに、つまらない本が大量に増えています。

 結局、編集者は「面白さ」に命を賭ける仕事なのだと見城さんは訴えているわけです。