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DeNA社が「MERY」を再開 まとめサイト復活か?

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 (出所はWIKI画像)

 8月3日に「DeNA」社が「MERY」を再開する方針を明らかにしました。

 2016年に著作権侵害や記事・写真の無断転載で社会的に糾弾された「DeNA」社は「WELQ」(ウェルク)等の10サイトを閉鎖したのですが、このたび小学館と共同で「MERY」と称したサイトを年内に再開させることを決めました。

(※「MERY」(メリー)は女性ファッションに関するまとめサイトでした。この名を冠したサイトが復活する)

 ITpro(2017/8/3)の記事によれば、小学館が記事をつくり、DeNAがシステムを運用する方式で「MERY」の名を冠したサイトを公開。小学館が66.66%、DeNAが33.34%が出資し、新会社「MERY」を設立します (玉置 亮太「DeNAと小学館がデジタルメディア新会社、「MERY」ブランドを継続へ」)。

 新たな「MERY」はクラウドソーシングを使い、不特定多数の書き手に記事執筆を依頼したり、一般利用者からの投稿記事したりせず、独自の記事を作成する方針だとも言われています。

(※報道によれば、「MERY」は必ずしも「まとめサイト」ではなさそうにも見える)

 前掲記事では、報道発表の文言が紹介されています。

  • 「従来のMERYにおける運営体制を抜本的に刷新して、全ての記事を新たなプロセスに則り作成し、新しいMERYの誕生を目指す」
  • 「何かの寄せ集めで記事を作ることは想定していない」(DeNA)
  • 「現状の方向性としては、一般投稿記事は一切載せない」(小学館)

 「若い女性に支持されている」(小学館)と見て、サイトの名前を引き継ぎ、実質的には違った形式のサイトを再開する方針のようです。

 果たして、今後、DeNAはどこに向かって進んでいくのでしょうか。

DeNA社の「まとめサイト」問題とは

  過去を振り返ると、DeNA社の「まとめサイト」を巡る第三者委員会の調査報告書が3月13日に公開され、大量の著作権侵害が行われたことが明かされました。その対象になったのは7000~21000件の記事と746000件の画像と見られています。

 DeNA社は創業者の南場氏を加えて代表取締役を2人とし、守安功社長は月額報酬の半分を半年間減給。10サイトを統括した村田マリ氏はDeNA社の執行役員と「iemo」と「FindTravel」の代表取締役を辞任することになりました。

 報告書では顧客のクレームや法務部の忠告に耳を傾けずに爆走した企業の悲喜劇の顛末が描かれています。医療系のまとめサイトがクレームで炎上し、最後には10のまとめサイト全てが燃え尽きてしまいました。

  • WELQ(ウェルク):美容、健康、医療
  • iemo(イエモ):住まい、暮らし
  • FindTravel(ファインドトラベル):旅行
  • cuta(キュータ):妊娠、出産、子育て
  • UpIn(アップイン):保険、投資
  • CAFY(カフィ):食
  • JOOY(ジョーイ):男性ファッション
  • GOIN(ゴーイン):自動車
  • PUUL(プウル):エンターテイメント
  • MERY(メリー):女性ファッション

 この中にあるイエモとメリーは「株式会社ペロリ」が運営していたのですが、この企業をDeNA社が買収。その後、DeNA社はペロリ社の人材とノウハウを活かして、ほかの8つのサイトを増やしました。

 権利侵害としては小規模の案件が多く、被害額の算定が難しい著作権の問題であるため、この被害者が組織を立ち上げたとしても、著作権侵害で訴訟を提起するのは難しいようです。

  報告書(要約版)では著作権侵害について、画像は747463件と断定されていますが、文書の記事は376671件の中の「1.9%~5.6%」という形でぼかしています。

 そうなるのは文書における著作権侵害はグレーゾーンの範囲が大きいからです。総数を比率で割ると、7156件~21093件になるのですが、ネットニュース等では最大の数字を用いて「21000件の著作権違反」と報じています。

 中央値を取れば、だいたい1万4000件ぐらいの著作権侵害と見るべきなのかもしれません。 

DeNAはまとめサイトは「プラットフォーム」だと主張

 顧客からのクレームや外部からの批判、内部社員からの声で、まとめサイトは著作権違反が疑われていたのですが、DeNA社法務部は企業が責任を負って運営する「メディア」ではなく、ユーザーが投稿によってつくりあげる「プラットフォーム」なのだ、という論理を建てました。

 これは、いまだに粘る「NAVERまとめ」が自社を正当化している理由と同じものです。

 普通、ブログやSNS等の1メンバーが著作権法違反をして記事を書いたら、その個人の責任となり、ブログ運営会社(プラットホーム)のせいにはなりません。運営会社は問題発生後にその記事を公開停止にすればよいわけです。

 しかし、ニュースサイトのような「メディア」に運営する社員が著作権法違反の記事を書いたり、お金を払ってライターにその種の記事を書くように求めたら、その責任が運営企業に問われます。

 これはプラットホームの枠を超えて、雑誌や新聞などのように自分自身で書く「メディア」の世界に入ってきたからです。この問題に関して、DeNA社の報告書は、以下のように結論を出しました。

DeNAが運営する10サイトは、いずれも、一般ユーザーが投稿できる機能を備えていたので、プラットフォームの部分が存在したことは間違いない。しかし、全記事に占める一般ユーザーの投稿の割合は、MERYは約14.5%、Find Travelは約10%あったものの、他の8サイトはおおむね5%以下であり、そのほかの記事は、サイトの運営主体であるDeNAがその作成過程に様々な形で関わっていたので、その部分に関しては、プラットフォームではなくメディアであったと評価される

 プラットフォームとメディアが混ざっているのに、プラットフォームだと言い逃れたことを、報告書は「不適切だ」と批判しています。

DeNA社のまとめサイトは「質」を担保できなかった

 そして、記事の内容の質を担保するための編集体制、外部ライターに執筆を依頼する上でのマニュアルも不適切だったと評価されています。

 質の担保という点で、特に致命的だったのが、人命と健康にまつわる医療サイトのWELQでガセネタ記事が大量生産されてしまったことでした。

 DeNA社の医療系まとめサイトに関して、報告書は以下のように断じています。

DeNAが運営するサイトにおいて、これらの記事につき内容の確認を行っていたのは編集担当者や外部編集ディレクターであり、これらの者は医療や医薬品の効能効果についての専門的知見を有していなかった。医師等の専門家の監修を付けることが必須であると認識されていたにもかかわらず、記事の大量生産という方針とそぐわないことや、コストがかかり過ぎるといった考え方から、医師等の専門家の監修を付けることが見送られ、2016年9月頃になってようやく、その具体的な検討が開始されたにすぎなかった。

 要するに、命や健康にかかわる問題について、記事の粗製乱造が繰り返されてしまいました。最後の一文は、暗に「後の祭りだ」と言っているように見えます。

 DeNA社はペロリ社を買収した後、まとめサイトの大量展開を急いだわけですが、記事の質を担保する方策も、法令順守の意識や体制も不十分なままでした。

 この欠点を補うために、「MERY」は小学館とともに再開し、小学館のスタッフが記事作成を請け負う形に変更されました。 

DeNA社まとめサイト問題発生の原因は「反・大企業病」の称揚?

 この報告書の中で気になるのは、DeNA社においては「”反・大企業病”に対する行き過ぎた称揚」が問題を生んだと見られています。

「DeNAは『永久ベンチャー』を標ぼうし、スピード感のある意思決定が重視されていた」「『永久ベンチャー』という理念は、組織の硬直化、意思決定の鈍化といった大企業病に陥るまいとする誇り高き理念であったにもかかわらず、キュレーション事業においては、それが『速ければ易きに流れてもよい』ことを意味するかのごとく曲解されて、慎重な意思決定やリスク分析がないがしろにされ、当たり前のことを当たり前にやることへの軽視に繋がってしまった」

 近年、話題になった東芝は「大企業病」が問題視されていましたが、こちらはその逆の「拙速な判断」が危機を生んだとみられています。

 これは、東芝とは真逆の失敗事例だとも言えそうです。

DeNA社の「まとめサイト」と「NAVARまとめ」はよく似ている

 筆者が気になるのはDeNA社の失敗を他山の石にしない企業が残っていることです。

 リクルート、サイバーエージェント、ヤフーでも記事公開停止が起きたのに、NAVERまとめを運用するLINE社はいまだに粘っています。

 LINE社は、前掲例で言えば「プラットホームの枠内にいるからセーフだ」という主張を繰り返しています。

 しかし、著作権法違反や無断盗用であることが明白なものを延々と放置しながらも、プラットホームは責任を問われないままでいるのは奇妙な話です。プラットホームに管理責任がないとは考えにくいからです。

 数が多すぎると違反を全部、監督できなくなるのは当然ですが、まとめサイトの場合は、オリジナルの文章や画像なしで転用のみでページをつくっているものが多すぎます。

 ブログが「オリジナル記事をユーザーが自分で書く」という信義則(よく破られていますが)を元に運営されているのに比べると、まとめサイトの場合は「オリジナル記事なしに画像は他から断りなく拝借する」というケースが常態化しています。

 運営の仕方のなかに「著作権法違反、無断盗用は当然」という開き直りがあれば、今後、この種のまとめサイトを見る社会の目が厳しくなってくるのは避けられないでしょう。

※LINEの「NAVERまとめ」の記事の品質は限りなく怪しい

 Withニュースの記事 (信原一貴「まとめサイトの盗用、ある“浴衣画像”が「収拾つかない」事態に」2016年12月7日)では、浴衣の着付けを例に画像無断転載のサイトの例に「NAVARまとめ」を筆頭に挙げていました。

「浴衣結」の運営会社エスアイピー(大阪市)に連絡をしてみると「画像を盗まれすぎて、収拾がつかなくなっている」と回答が返って来ました。浴衣結には着付け手順を解説するイラストも多数載っていますが、これらも一緒に盗用されているといいます。担当者は「さまざまな面で多大な迷惑をこうむっている」。転載許可の問い合わせが来ることは「ほとんどない」といい、使用許諾を出したまとめサイトは「nanapi」と「OKWAVE ガイド」だけです。まず目についたのが、まとめサイトの代表格「NAVERまとめ」です。

 信原氏が挙げたNAVERまとめの記事リンク先があったので、そのページに飛んで使われている画像を見ると、17個の着付けの画像が二種類のサイトから転用されていました。www.yukatamusubi.comが12個、www.yukatakitsuke.net/が5個。本文の文字要素には元記事に似た着付けの説明が並んでいます。許可なく他社がサイトで用いている独自画像だけで記事を構成しているのですが、LINE社の基準ではこれでよいらしいのです。 

DeNA社の「MERY」は「まとめサイト」として再開される?

  DeNA社はまとめサイト「MERY」を再開すると報じられていますが、前掲の報道を見る限りでは、必ずしも同じ形式ではないようです。

 しかし、最終的にどうなるのかは、実際に再開されたサイトを見なければ分かりません。

 良心的な普通のサイトであればよいのですが、昔の「MERY」の名を冠する以上、まとめサイト的な手法を使いたいという「野心」が残っているのかもしれません。

 本年2月にはグーグル社が記事盗用を対象にした検索システムの変更を行い、3月には「フレッドアップデート」と呼ばれる検索システムの変更を行いました。

 その結果、多くのサイトの検索順位が変動したのですが、その背景には「まとめサイト」を問題視する意図があったとの憶測も流れています。

 DeNA社のサイト「MERY」の品質が悪ければ、またグーグル社が「対策」を練り、他の多くのサイト運営者たちも検索順位変動にまきこまれるのかもしれません。

 今後、グーグル社の検索システムは、独自コンテンツのないサイトにますます厳しくなる可能性が高いとも言われています。

 そうした検索順位の変動に巻き込まれないよう注意するとともに、DeNA社のまとめサイトが健全に運営されるのかどうかを、読者がしっかりと注視するべきなのでしょう。