トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

「君の名は。」が歴代邦画第二位 東宝の売上・利益・株価は大幅増

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(飛騨市。瀧と三葉はどこにいる? 出所:WIKI画像)

 7月28日はプレミアムフライデーですが、当ブログは休日向きではない政治・経済記事ばかりを書いているので、たまには休日向きの記事を書いてみます。

 最近、2016年に大ヒットした「君の名は。」の興行収入が250億円(歴代邦画興行収入は2位)を超えたことがネットニュース等で報じられているので、今回は、このトピックを取り上げてみます。

 7月13日のシネマトゥディの記事によれば「君の名は。」の観客動員数は1900万人。

 ネットニュースでは映画・ドラマなどが見放題の「U-NEXT」で観れることが紹介されていますが、アマゾンビデオでも500円以上の値段で観れます(画質によってレンタル価格が変わる)。「U-NEXT」で購入した場合は2500円(税別)、レンタルだと2日間で500円なので、価格設定はアマゾンビデオと同じです。

 さすがに新作なので、「U-NEXT」でもアマゾンビデオでも、まだ見放題プランには入っていません。

 とりあえず、まずは、歴代邦画ランキング等での「君の名は。」の位置づけを見てみます。

(以下、出所は「日本国内歴代総合興行収入ランキング 1位 - 100位 - 映画ランキングドットコム」)

歴代邦画ランキング1~20位(「君の名は。」との比較)

 ※黒太字は興行成績が「君の名は。」を上回った作品です。

  • 1位:千と千尋の神隠し(東宝):308億円  ※2001年
  • 2位:君の名は。(東宝):250.3億円 ※2016年
  • 3位:ハウルの動く城(東宝):196億円 ※2004年
  • 4位:もののけ姫(東宝):193億円 ※1997年
  • 5位:踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(東宝):173.5億円 ※2003年
  • 6位:崖の上のポニョ(東宝):155億円 ※2008年
  • 7位:風立ちぬ(東宝):120.2億円 ※2013年
  • 8位:南極物語(角川):110億円 ※1983年
  • 9位:踊る大捜査線(東宝)101億円 ※1998年
  • 10位:子猫物語(東宝)98億円 ※1986年
  • 11位:借りぐらしのアリエッティ(東宝)92.5億円 ※2010年
  • 12位:天と地と(東映)92億円 ※1990年
  • 13位:永遠の0(東宝)87.6億円 ※2013年
  • 14位:世界の中心で、愛をさけぶ (東宝)85億円 ※2004年
  • 15位:STAND BY ME ドラえもん(東宝)83.8億円 ※2014年
  • 16位:シン・ゴジラ(東宝)82.5億円 ※2016年
  • 17位:敦煌(東宝) 82億円 ※1988年
  • 18位:ROOKIES-卒業(東宝)85.5億円 ※2009年
  • 19位:HERO(東宝)81.5億円 ※2007年
  • 20位:THE LAST MESSAGE 海猿(東宝)80.4億円 ※2010年

 こうしてみると、上位10位のうち6作品がアニメ(東宝)です。10位のうち9つが東宝作品・・・。

 最近のヒット作といわれる「永遠の0」でも13位。「シン・ゴジラ」でも16位。最近のヒット作でも、なかなか、過去の業績を超えられていません。

 筆者が少年時代に見た「南極物語」等の懐かしい作品もランクイン。なかなか名作は手ごわいようです。 

歴代洋画ランキング1-20位(「君の名は。」との比較)

黒太字は興行成績が「君の名は。」を上回った作品です。

  • 1位:タイタニック(FOX)262億 ※1997年 
  • 2位:アナと雪の女王(ディズニー)255億 ※2014年 
  • 3位:ハリー・ポッターと賢者の石(ワーナー)203億 ※2001年 
  • 4位:ハリー・ポッターと秘密の部屋(ワーナー)173億 ※2002年 
  • 5位:アバター(FOX)156億 ※2009年 
  • 6位:ラスト・サムライ(ワーナー)137億 ※2003年 
  • 7位:E.T.(CIC)135億円 ※1982年 
  • 8位:アルマゲドン(ディズニー)135億 ※1998年 
  • 9位:ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(ワーナー)135億 ※2004
  • 10位:ジュラシック・パーク(UIP)128.5億 ※1993年 
  • 11位:スター・ウォーズ エピソード1 (FOX)127億 ※1999年 
  • 12位:美女と野獣(ディズニー)123.3億 ※2017年 
  • 13位:アリス・イン・ワンダーランド(ディズニー)118億 ※2010年 
  • 14位:スター・ウォーズ/フォースの覚醒(ディズニー)116.3億 ※2015年 
  • 15位:マトリックス・リローデッド(ワーナー)110億 ※2003年 
  • 16位:ファインディング・ニモ(ディズニー)110億 ※2003年
  • 17位:ハリー・ポッターと炎のゴブレット(ワーナー)110億 ※2005年 
  • 18位:パイレーツ・オブ・カリビアン・ワールド・エンド(ディズニー) 109億 ※2007年 
  • 19位:トイ・ストーリー3 (ディズニー)108億 2010年 
  • 20位:インデペンデンス・デイ(FOX)106.5億 1996年

 これは国内での興行収入ですが、「君の名は。」は250億円なので、タイタニックとアナと雪の女王に次ぐ額になっています。日本国内でヒットしたシリーズとしては、ハリー・ポッターが際立っています。

「君の名は。」効果:連結業績の推移

 2016年に「君の名は。」と「シン・ゴジラ」をヒットさせた東宝の業績はどうなったのでしょうか。

 平成29年2月期第1四半期(平成28年3月1日~平成28年5月31日)から平成30年2月期第1四半期(平成29年3月1日~平成29年5月31日)までの連結業績の推移は以下の通りです。

  • 営業収入:577億9700万円⇒710億200万円(+22.8%)
  • 営業利益:128億2100万円⇒174億4000万円(+36%)
  • 経常利益:128億9400万円⇒175億7800万円(+36.3%) 
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益: 87億800万円⇒121億6300万円(+39.7%)
  • 1株当たり四半期純利益: 47円63銭⇒67円29銭

 大幅な増益になっています。 

 東宝の株価は2016年代に3000円前後で推移していました。下限が2627円(2016/6/24日)、上限が3305円(2016/12/30)。しかし、2951円(2017/3/31)⇒3505円(2017/6/23)⇒3906円(2017/7/27)へと株価は急騰。

 決算発表の効果です。

 2016年10月に東宝が出した業績予想の上方修正を見ると、営業収入は8%増、営業利益予想は42.4%増、経常利益予想は41%増、当期純利益予想は48%増とされていました(出所:「業績予想の修正に関するお知らせ」平成28年10月17日)。収入は予想よりも14%ほど多く、三種類の利益の実績値は5%~9%程度、下回っていました。

「君の名は。」がアジアを席巻

 「君の名は。」は中国、台湾、香港、タイ等でも好評を博しました。ネットメディアの「response」の記事で、その詳細が出ていました。

(「海外メディアも「何度でも見るべき」と絶賛…今さら聞けない「君の名は。」人気の秘密」2016/12/6)

 中国では12月2日から66000のスクリーンで一斉ロードショー。Varietyの報道によれば、初日から26万7千人の観客を集め、1日で1090万ドル(約12億円)もの驚異的な興行収入を上げた。興収331万ドル(約3億7千万円)の「ファンタスティックビースト」は2位に後退。公開から8日間で6千40万ドル(約68億円)を売り上げたヒット作も、「君の名は。」の勢いには勝てなかったようだ。

 その他、10月21日に公開された台湾では、公開1週目の週末興行ランキングで第1位を獲得。10月31日にそれまで邦画歴代首位だった「リング」の台北での興行収入1億6200万円を超え、歴代邦画興行収入第1位を達成。

 タイでは11月10日に公開、11月27日の時点で興収119万ドル(約1億3千万円)。11月11日に公開された香港では、週末3日間で約8600万円の興行収入で、週末興行ランキング1位を獲得している。

 11月24日にアニメ上映としては最多の104のスクリーンで公開されたイギリス、アイルランドでも、アニメ映画における1日の興行成績としては過去最高の 12万ユーロ(約1500万円)を記録。27日には倍近い2900万円まで興収を伸ばしている。

 「君の名は。」では、飛騨の山奥の神道文化が出てきます。

 神秘的な古い伝統文化と都会に毒されていない田舎の美しさや、対照的な東京の風景などは、中国、台湾、タイの人たちの心を捉えるものがあるのかもしれません。

 日本の田舎の生活のよさも、東京の華やかさも、高校生の生活を通して、魅力的に描かれているからです。

  ロサンゼルスで取材中の新海誠監督はロサンゼルス映画批評家協会賞のうち、アニメ部門受賞と聞き、ツィッターの中で「なんと。マジですか……」と絶句していました。

 本人もびっくりの快進撃で、何か、この映画は「神がかった」パワーを発揮しているようなのです(映画の中でも日本の神社が出てきたりしますが、何かご加護があったのでしょうか)。

 日本の高校生の生活がうらやましい、という学生が多いのかもしれませんが、「神も仏もいない。物しかない」という唯物論が建前の国でも古神道とか「前前々世」が出てくる「君の名は。」が広がっているのは驚きです。民衆レベルではけっこう信心深い人がいたりするようなので、本音と建て前は違うのかもしれません。

「君の名は。」レビューを書いてみる

 ものぐさな筆者も「君の名は。」は一応、映画館で見ています。筆者の感想を数字化(※★5個がベスト)すると以下の結果になりました。

  • 映像:★★★★★
  • 音楽:★★★
  • 斬新さ:★★★★★(※今までにない切り口)
  • ストーリー:★★★(やや分かりにくい・・・)
  • 声優:★★★★(声音とキャラはマッチしていました)

 要するに、「映像は美しく、今までにないストーリーの斬新さは興味深いが、やや分かりにくかった」というのが筆者の感想です。

 映画の中では、過去と未来を行ったり来たり、「らんま1/2」のように男が女に、女が男になったりします。

 単純な頭の筆者は、時折、筋が分からなくなりました。

 映画館を出る時に、「ストーリーがよく分からんかった」と言うカップルの会話も聞いたので、これは必ずしも筆者だけの感覚ではなさそうです。

 ただ、普通の高校生の生活を通して、通常は起こり得ないミステリーと男女の感情の動きを描き出すストーリーは非常に斬新でした。

 バトルシーンもSF的な特撮アクションもないのですが、「ありきたりな日常のなかでのミステリーの探究」という一点を、しっかりと追って映画化しています。

 新海誠監督は雑誌『ムー』を読まれていたそうですが、オカルトを取り込みながらも、マニアックにならず、誰でも入り込める異世界を作り上げています。その中に日本の伝統的な神道文化のよい部分を織り込んでいる点は、異色の出来ばえでした(※日本神道の「結び」の思想等を現代的に表現しています。その意味では、今までのアニメとは違う観点に挑戦した作品です)。

 筆者は子供の頃からRPG的なバトルや「銀河英雄伝説」のような戦争ものに洗脳されているので、バトルシーンや戦略ゲーム的なストーリーがないと物足りず、「君の名は。」では感動できませんでしたが、切り口の新しさが非常に興味を惹かれました。

 この映画は、恋愛ものや神秘ものに素直に感動できる若い方が、非常に共鳴しているのかもしれません。

 このあたりは趣味の問題ですが、非常に斬新なつくりになっているので、まだ見ていない方にとっても、500円を払う価値はあるのではないでしょうか。