トランプ政権と日本・アジア 2017

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猛暑の経済効果 儲かる業界、銘柄は?

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(猛暑に食べたい種なしスイカ:出所はWIKI画像)

  連日、猛暑が続いており、経済誌ではその経済効果についての記事も、たびたび公開されています。

 2017年だけでなく、毎年、この種の記事が出てきますが、この種の情報を整理すれば「猛暑でもうかる業界」や「消費の増減」に関しても、何らかの傾向が見いだせるのかもしれません。

 このテーマは、汗を流しながら、アパートのそばにある自販機で缶コーヒーを買いに行った時に思いついたものです。このように「暑い、暑い」と言いながら、多くの人が冷たい飲み物を買うだけで消費が増えるので、猛暑の経済効果はバカになりません(猛暑で需要増になった場合、涼しくなると反動減も起きますが・・・)。

 今回は、この問題について考えてみます。

猛暑の経済効果①:儲かる業界はどこ?

 猛暑の経済効果に関しては、 永濱利廣氏(第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト)が何度か関連記事を書いています。

 2015年の記事「“バイアスを排除した”経済の見方(2015.8.24)」では、日傘等のわかりやすい業種のほか、猛暑によって以下の業界にはプラスの効果があるとしています(「異常な猛暑で経済マイナス成長?「猛暑で消費拡大」がはらむリスク」)。

  • エアコン関連
  • 飲料関連(ビール、清涼飲料水等)
  • 冷菓関連
  • 製薬関連(目薬、日焼け止め、虫除け等)
  • 水業界(旅行業界やプールなど)
  • コンビニ(飲料の販売比率が高い)
  • 広告代理店の受注(猛暑による消費拡大効果が見込める)
  • 缶・ペットボトル、ラベルメーカー、アルミ等の圧延メーカー
  • 外食産業(ファミリーレストランなど)
  • 運輸業界(消費が増え、荷動きも増える)
  • 包装用のダンボールメーカー
  • ゲーム業界(猛暑で外出が減り、販売が増える)

(※永濱氏は2016年の記事〔「今年の猛暑、絶大な経済効果?家計消費が1兆円近く増も…なぜダンボール業界もプラス?」2016.7.13〕では、盛夏商材の伸長による百貨店・スーパー等の小売業界の売上増、エアコンによる家電量販店の販売増加、製薬業界でのドリンク剤やスキンケアの売上好調、乳製品やアイスクリーム販売の好調等の影響が出たとも述べている)

 このうち、筆者が興味深く思ったのは、「猛暑になると外出が減り、ゲーム業界が儲かる」という構図です。永濱氏によれば、テーマパーク等は猛暑がマイナスに作用しますが、前述の論理からいえば、「猛暑になると外出が減り、テーマパークの客は減る」ことになりそうです。

 しかし、避暑地等では観光や消費が増えるはずです。

 そして、永濱氏が、2010年のデータで「7~9月期の実質家計消費の前年比と東京・大阪平均の日照時間の前年差」を調べたところ、「両者は驚くほど連動性があり、日照時間が増加したときに実質家計消費が拡大するケースが多い」という結論が出たようです。

 前掲記事(2)では、概算で「日照時間が10%増加すると、家計消費支出が0.4%程度押し上げられる」とし、輸入増加分を差し引くと、猛暑で実質GDPが0.3兆円(0.2%)から0.4兆円(0.3%)ほど増える可能性があるとしていました。

(※GDPの公式は「消費」+「投資」+「政府支出」+「輸出」-「輸入」なので、「輸入」増はGDP減少)

 規模が大きいので、猛暑が日本経済に与える影響は無視できません。

 しかし、いいことづくめではなく、猛暑後の10~12月期は反動が起きています。

「記録的猛暑となった94、10年とも7~9月期は大幅プラス成長を記録したが、続く10~12月期は個人消費主導でマイナス成長に転じている」ことも併記されていました。猛暑対策でやむなく出費した分、秋口には節約モードに入るわけです(「異常な猛暑で経済マイナス成長?「猛暑で消費拡大」がはらむリスク(2)」) 

猛暑の経済効果②:熱くなりすぎたら販売減? 

 猛暑の効果に関しては、他の媒体でも様々な見解が紹介されています。

 ハンフィントンポスト(2013/7/13)では「猛暑の経済効果は上々、しかし長引けばマイナスに」と題した記事が公開されていました(執筆者: 清水律子、編集;田巻一彦)。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の試算によると、7―8月の平均気温が1度上昇すると、同期の個人消費は1313億円増加する。これは、7―9月期の実質個人消費を0.18%、GDP全体を0.11%押し上げるという。

  しかし、猛暑が行き過ぎると、店への客足が遠のくらしく、2013年に小売り企業関係者が「足元では夏物衣料や猛暑対策で売上げにはプラスに働いている。だが、この暑さが続くと、客足に影響したり、秋物商戦に響いたりしないか心配だ」と述べたことも紹介されています。

 客足が遠のくと聞いて、筆者の頭に思い浮かんだのは、「猛暑だと店に買いに行くのが面倒になり、消費者はアマゾン等で自宅に商品を運んでもらうことを考え始めるのではないか」ということです。猛暑はアマゾンにとってプラスなのではないでしょうか。

猛暑の経済効果③:2017年の場合は?

 2017年でも「猛暑の経済効果」が観測されています。

 まずは永濱利廣氏から。

 同氏はダイヤモンドオンライン(2017.7.12)で「今夏の『猛暑』は本当に日本経済を盛り上げるか?」という記事を公開しています。 

 そこで、「今年の夏も猛暑となれば、幅広い業界に恩恵が及ぶ可能性がある」とも述べていました。

 永濱氏は、エアコン関連や飲料関連、目薬や日焼け止め関連、旅行、冷菓関連や日傘・虫除け関連、コンビニ、広告代理店の受注増加、缶・ペットボトル及びラベルメーカー、原材料となるアルミニウム圧延メーカー、包装するダンボールメーカー、ファミレス、運輸、宅配関連等にプラスの効果が出る可能性を指摘していました。

 具体的な統計値に関しては「7-9月期は気温上昇や日照時間が増加したときに、実質家計消費が増加するケースが多い」とし、「7-9月期の平均気温が+1℃上昇で、家計消費は+3200億円増加」と述べています。 

「今年7-9月期の日照時間が1994年および2010年と同程度となった場合の影響を試算すれば、日照時間が平年比でそれぞれ+30.5%、+22.2%増加することにより、今年7‐9月期の家計消費はそれぞれ前年に比べて+6904億円(+1.2%)、+5026億円(+0.9%)程度押し上げられる」

 猛暑で輸入が増えるので、輸入増分を引いた実質GDPへの影響は約3000億円ほどになるそうです。

最終的に猛暑が実質GDPに及ぼす影響を試算すれば、94年並となった場合は+4220億円(+0.3%)、2010年並となった場合は+3072億円(+0.2%)ほど実質GDPを押し上げることになる 

猛暑の経済効果④:プラスになる銘柄は?

 日経電子版(2017/7/12)では、永濱氏の所見をもとに「猛暑銘柄」を捜していました(「飲料・エアコンだけじゃない 「猛暑銘柄」ここにも」

 そこでは、以下の銘柄が紹介されています。

  • 飲料:伊藤園など
  • エアコン:ダイキン工業など
  • コンビニやドラッグストア
  • カラオケチェーン:コシダカホールディングス
  • レジャー:ボウリング場運営のラウンドワン、漫画などを販売する「まんだらけ」
  • 喫茶店銘柄:ドトール・日レスホールディングス、コメダホールディングス
  • アルミ:昭和電工
  • ラベル:フジシールインターナショナル
  • 車載バッテリー:オートバックスセブン

 しかし、「暑くなると外出を手控える人が増える」ので、遊園地「富士急ハイランド」を展開する富士急行やオリエンタルランド、キャンプ用品を製造販売するスノーピークなどにはマイナス効果が出たことを指摘しています。

 意外にも「アイスクリーム業界では30度を超えると乳脂肪分の多いアイスは敬遠され、氷菓に売れ筋がシフトする」のだそうです。また、ガス関連も「調理時に火を使わないようになる」とみられ、猛暑は東京ガスや大阪ガスの株価にもマイナスだとされています。

 この計算をもとに、ZUU Onlineの記事(2017/7/24)では、恩恵を受ける銘柄を予測しています(「猛暑で経済底上げ 気温1度上昇で家計消費支出「3200億円」押し上げ」)

 12日付の前掲日経記事では意外とサーティワンアイスクリームは売上が伸びていないと書いていましたが、ZUUの記事は氷菓等の関連業界に期待していました。

  • B—Rサーティワンアイスクリーム(2268・JQ)
  • 明治ホールディングス(2269)
  • 森永乳業(2264)

 ラベルではフジシールインターナショナル(7864)、段ボールではレンゴー(3941)を「猛暑関連銘柄」に位置付けています。そのほか、日焼け止めや虫よけを販売するドラッグスストアや暑さ対策で栄養ドリンクの需要増から大正製薬ホールディングス(4581にも期待をかけています。

 猛暑で人間の経済行動がどう変わるのかは、興味深い話題なので、今後もニュースを追っていきたいものです。