トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

2017都議選 各党支持率と政策比較 自民党VS都民ファーストの会のゆくえ

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(東京都、合羽橋。出所はWIKI画像)

  東京都議選の投票日まで3週間を切り、各党が活動を活発化させています。

 果たして、小池都知事はフランスのマクロン新大統領のように都議会選で大勝できるのでしょうか。

 マクロン氏の場合は、新大統領への期待度が高まる中で下院選が行われたので、同氏が率いる「共和国前進」が躍進を遂げましたが、小池氏の場合は、当選から1年が近づき、期待がさめかけている中で選挙となるので、都民ファーストの会は、そうやすやすと勝てるわけでもなさそうです。

 フランスは大統領の支持政党が議会で過半数割れしてしまうことが多かったので、新大統領当選から下院選までの期間が短くなるように日程を変更したとも言われますが、今の日本はそうなってはいないからです。

 今回は、世論調査を踏まえて、各党の政策を比較してみます。 

各党の支持率(有権者投票先)はどの程度?

 まず、世論調査から見ますと、有権者の投票先は以下の通りです。 

【告示後】

6月 読売 日経 産経 毎日 朝日 東京
日付 26 25 26 26 26 26
自民 23% 25.9% 23.2% 26% 25% 25.9%
都民 26% 26.7% 24.4% 27% 25% 26.7%
公明 7% 12.3% 6.7% 12% 6% 12.3%
共産 8% 13% 7.5% 13% 7% 13%
民進 4% 5.4% 5.8% 8% 7% 8.4%

【告示前】

  読売 日経 産経 毎日 朝日 東京
日付 5/22 5/28 5/28 5/29 6/3 6/13
自民 25% 31% 17% 17% 27% 17.1%
都民 22% 21% 11% 11% 27% 11.6%
公明 6% 4% 5% 5% 5% 3.9%
共産 6% 4% 6% 6% 6% 7.7%
民進 5% 5% 3% 3% 5% 4.1%

(※都民=都民ファースト、産経記事は共同通信調査、東京=東京新聞) 

 5月は自民党が優勢でしたが、小池都知事が都民ファーストの会に就任して以降は、同党が支持率を盛り返しているようです。

 都民は豊洲移転を支持?(世論調査比較)

 そして、最大の懸案事項となっている豊洲市場移転の各党見解と世論調査の結果を並べてみます。 

毎日(5/29)

  • 移転すべきだ:28%
  • 移転を中止し築地市場を再整備すべきだ:21%

読売(5/22)

  • さらに安全対策を行い豊洲に移転する:42%
  • できるだけ早く豊洲に移転する:24%
  • 移転せずに築地市場を改修する:24% 

毎日(5/28)

  • (豊洲に)移転すべきだ:28%
  • 移転を中止し築地市場を再整備すべきだ:21%

日経(5/28)

  • 移転させるべきだ:50%
  • 移転させるべきでない:37%

 朝日新聞(6/3)

  • (豊洲移転を)今後も目指すべきだ:53%
  • やめるべきだ:31%

各党の築地市場移転問題へのスタンス 

以下、各党公約からの抜粋を掲載。※6月20日に小池都知事の記者会見で豊洲移転(築地再整備+併用)の構想が明かされました(動画はこちら)。

自民党:豊洲市場への早期移転

「豊洲市場の開場で国際規格(※HACCP等)の衛生管理を実現」「衛生的で安全安心な生鮮食料品を安定的に供給」「築地市場跡地利用で周辺道路環境を改善」「速やかな市場移転で環状2号線の早期完成」

都民ファースト:築地と豊洲を併用(知事の立場と同じ)

「築地市場のブランド力を守り、豊洲市場を物流拠点として活用」「豊洲市場に5800億円を投じながらも、行政、議会が求めた環境基準以下の約束は未達成。さらに、毎年約100億円もの赤字発生が懸念されるため、これまでの市場計画を見直します。築地市場のブランド力を守り、追加対策を講じた上で豊洲市場を物流拠点としても活用します」 

公明党:豊洲市場移転に向けて知事の行程表を実行

「専門家会議の科学的知見による地下水の安全対策を実施し、豊洲市場移転に向けての知事が示したロードマップ(行程表)をスピード感を持って実行します」

共産党:豊洲移転中止。築地再整備

「築地市場の豊洲新市場への移転はキッパリ中止し、築地市場の再整備に本格的に踏み出します」「豊洲新市場の土壌汚染は、現在も将来も、命と健康を脅かす大問題です。同時に、年間140億円もの赤字という予想もあり、近い将来、財政的にもゆきづまることもさけられません」

民進党:環境面での追加対策と都民の納得なしに豊洲再整備はない

「汚染物質の検出や盛り土問題に対して、都民が安心できる追加対策(例えば、微生物を利用した地下水の浄化やシートによる封じ込めなど)の早期実施を求めます。追加対策の実施や情報公開の徹底、都民の理解と納得なくして、豊洲市場の移転はあり得ません」 

都民の要望が高い分野はどこ?

 東京都HPに生活文化局が公開した「報道発表資料」(2016年11月30日)では世論調査に対して都民が「東京都に対して特に力を入れてほしいと望んでいること」として答えた内容が掲載されています。

 その順位は以下の通りでした。

  1. 「高齢者対策」(54%)
  2. 「防災対策」49%
  3. 「治安対策」48%
  4. 「医療・衛生対策」42%
  5. 「行財政」27%

(以下の画像の出典は東京都HP前掲記事)

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主要政策比較

 都民の要望を見た上で、各党の主要政策を眺めてみます。

 内容面では、築地市場の移転問題が大きな対立点として目立ちますが、個々の政策を見ると、意外と似たような政策が多いようです。

 例えば、都民が解決を待ち望む「待機児童問題」では、どの政党も「待機児童ゼロ」を目指しています。施策に違いはあろうと、解決を目指している点では同じなのです。

 また、都民の要望で上位を占めた防災対策にしても、都の建物の耐震度を上げることや、木造住宅が密集する地域で防火住宅の普及を後押しすること等、意外と内容は似たところが出てきます。

【自民党】

  • 豊洲市場への早期移転を実現。環状2号線の早期完成。周辺道路環境を改善
  • 外環の東名以南、三環状などの環状道路の完成
  • 羽田空港の機能拡充(容量拡大、羽田アクセス線の整備促進)
  • 都県境における道路橋梁整備の推進
  • 道路、駅、公共施設など都内全域でバリアフリー化
  • ユニバーサルデザインのまちづくり(ホームドア、鉄道駅エレベーター、エスカレーター設置)
  • 中小企業への資金繰り対策、起業支援
  • 都民のための「2000 億円プラン」(就学前教育の無償化。都内私立小・中学校の無償化/個人都民税10%減税/事業所税を50%減額)
  • 木造住宅密集地域の不燃化・耐震化、無電柱化、中小河川の改修
  • 子育て支援や待機児童ゼロを目指す(幼稚園の預り保育の充実、保育人材の確保・育成等)
  • 出産前後の母親と子供を守る体制を強化
  • 地域包括ケア体制の構築と介護報酬制度見直し
  • 爆弾処理対策、防犯カメラの充実、サイバーセキュリティ対策
  • 障害者の雇用促進、非正規雇用の環境改善、賃金水準全体の底上げ
  • 2025 年までに年間3,000 万人の旅行者が訪れる世界有数の観光都市へ
  • 中小企業の効果的な物流効率化投資への支援/港湾物流の効率化
  • 再生可能エネルギーの利用促進によるCO2削減(2030 年までに30%減)
  • 横田基地の返還に向けた段階的な民間開放
  • オリンピック・パラリンピックに向けた東京ブランド産品の活用促進(農産物、畜産物、多摩産材、島しょ水産物など)

【都民ファーストの会】

  • 議会改革条例の制定(議員特権の廃止、議会棟内の禁煙等)
  • 公文書管理条例の制定(「黒塗り」の公文書を改め、徹底的に情報公開)
  • 「不当口利き」禁止条例(税金を無駄にする議員を許しません)
  • 待機児童解消条例(保育サービスの定員を7 万人分増 2019 年度末)
  • 都営住宅・マンション・事業所など保育施設併設による容積率の緩和
  • 特別養護老人ホームの定員6万人に(2025年度末)
  • 認知症高齢者のグループホーム定員2 万人に(2025 年度末)
  • 介護老人保健施設の整備で定員3 万人に(2025 年度末)
  • 学び舎作り推進条例の制定
  • 災害対策強化条例の制定
  • 健康長寿社会推進条例
  • 受動喫煙防止条例
  • ライフ・ワーク・バランス確立推進条例
  • 国際金融都市推進条例
  • 東京五輪経費透明化条例
  • 東京都契約適正化委員会設置条例
  • 三多摩・島しょ地域を財政的に支援する市町村総合交付金を充実
  • 温室効果ガス排出量を2000 年比で30%削減(2030 年まで)
  • 訪都外国人旅行者数2500 万人を目標(2020 年)

 ※関連記事:都民ファーストの会VS自民党 争点は何?(6/26)  

【公明党】

  • 大会組織委員会における経費の透明化や議会のチェック体制を確立
  • 羽田空港への鉄道アクセス路線を早期に整備し、利用者の利便性を大幅に改善
  • 首都圏の高速道路上の料金所を撤廃し、渋滞を緩和
  • 震災時に救命活動や物資の運搬を確実に行えるよう、特定緊急輸送道路の沿道建築物を100%耐震化 災害拠点病院に次いで受け入れ先となる二次救急病院を100%耐震化
  • 待機児童の解消へ、地域の実情に応じた多様な保育サービスを提供するため、認可保育所や認証保育所、認定こども園、保育ママ(家庭的保育)などを拡充
  • 私立高校授業料の無償化を年収約910万円未満の世帯へ拡充
  • 幼児教育の無償化を完全実施。小中学校給食の無償化を実施
  • 70歳以上の高齢者に対して、バスなどに利用できるシルバーパス制度を継続
  • 住み慣れた地域で入所できるよう、地域密着型特別養護老人ホームを増設
  • 認知症グループホームに入所できるよう、低所得者に対する家賃助成を実施
  • バリアフリー改修助成制度を拡充し、高齢者や若者が入居しやすいように家賃補助、公的保証人制度を創設
  • 受動喫煙防止条例を制定
  • 無電柱化推進条例を制定
  • 資金繰りに苦しむ小規模零細企業に対し、地域金融機関を活用した都独自の融資制度を大幅に拡充
  • 宿泊型の産後ケアセンター(現在9カ所)を各区市町村へ拡大
  • 都立墨東病院と都保健医療公社・多摩北部医療センターで実施している病児・病後児保育を全ての都立病院や公社病院で実施
  • 要介護者の緊急時の受入れ体制を強化。介護老人保健施設を活用した新たな受け入れシステムを構築

【共産党】

  • 予算の2.8%の組み替えれば、低所得層(約4割)で一人当たりの国民保険料を年間3000~5000円を軽減、公立保育園建設の整備費を補助、シルバーパスの負担軽減、2000戸の都営住宅の新規建設等、63項目の施策を実現できると主張。
  • IOC基準を大きく超える五輪競技施設の見直しなど、競技場整備費の節減を進める。
  • 費用の内訳や検討過程を透明化し、都民参加でチェック、削減する
  • 認可保育園を9万人分増設し、待機児ゼロへ
  • 待機者ゼロをめざし、特別養護老人ホームを2万人分増す
  • 子育て支援を充実し、「子どもの貧困」のない東京をめざす
  • シルバーパスの発行範囲を拡大。
  • 国民健康保険料(税)を1人1万円、介護と後期高齢者医療の保険料をそれぞれ5,000円引き下げ、医療・介護の負担を軽減
  • 子どもの均等割の減免制度を抜本的に拡充。介護と後期高齢者医療の保険料を5000円引き下げる
  • 中小企業への支援をすすめ、都内労働者の最低賃金は時給1500円を目指す
  • 週40時間働けば生活できる東京をつくる
  • 中小企業予算、雇用対策予算を抜本的に増額し、働く人と中小企業を守る施策を強める
  • 罰則規定を含む受動喫煙防止条例を制定
  • 35人学級の実現。都独自の給付制奨学金の拡充、私立高校の入学金と施設費の負担の軽減、小中学校等の学校給食費の負担軽減、就学援助の拡充
  • 「日の丸・君が代」のおしつけをやめさせる
  • 「原発ゼロ」。原発再稼働は許さない。
  • 住宅耐震化の抜本的強化。
  • 都心上空を飛行する羽田国際空港機能拡張計画を中止させる。

【民進党】

  • 豊洲の百条委員会の結果を踏まえ、公文書の作成、保存等のルールを明確にする。「公文書管理条例」を制定し、運用を徹底する
  • 行政のムダの排除のために事業評価に際して外部の目を活用する
  • 都の天下りは「原則許可」から「原則禁止」とする
  • 入札制度改革で「談合ゼロ、利権ゼロ」を目指す
  • 「ブラック企業」「ブラックバイト」の根絶
  • 障害者差別解消条例を2018年までに制定。犯罪被害者支援条例も制定。
  • 鉄道駅やその周辺のバリアフリー化(主要駅ではホームドア化100%を目指す)
  • 女性支援も含めて「ライフ・ワーク・バランス」推進事業等を実施
  • 生活困窮者への支援を強化
  • 2020年に待機児童ゼロを目指す。保育士の給与改善(民主党の要望で予防で増額が実現したとPR)
  • 都による統一的な研修を実施し、保育士を確保・育成
  • 保育所整備のため、公有地を洗い出し、土地・建物確保のためのマッチングや賃料補助を拡充。認証保育所を増やし、事業所内保育所の整備を進める。子育てクーポンの制度導入に取り組む。
  • 待機児童世帯の不公平感を緩和するため、東京都版「子ども手当」を創設
  • 月額4万円の「子育て応援!家賃助成」を創設
  • 就学前教育の無償化や小・中学校の給食費等の無償化、給付型奨学金の拡充。少人数学級の推進
  • 高校教育の無償化(私立高校についても都独自に年収760万円未満世帯への支援を拡充)
  • 月額4万円の「老後安心!家賃補助」を創設
  • 介護職員の処遇改善に取り組む介護保険事業所への支援を充実させる。
  • 2025年度末までに特別養護老人ホーム6万人分、認知症高齢者グループホーム2万人分を整備
  • 有料老人ホームの費用負担軽減などを図る
  • 病院の耐震化や免震構造への建替。耐震改修促進計画の100%達成に向け、木造住宅、マンション、緊急輸送道路沿道建築物への耐震診断・耐震改修を促進。木造密集地域対策と不燃化特区を推進
  • 中小企業制度融資として保証料補助などの負担を軽減
  • 多摩都市モノレールの延伸や有楽町線の延伸。羽田空港の国際線発着枠の拡大(9万回→13万回)
  • 横田基地の軍民共用化や管制業務の早期全面返還を求める
  • 月額4万円の「子育て応援!家賃補助」と「老後安心!家賃補助」制度を創設
  • サービス付き高齢者向け住宅供給への助成を実施
  • 米軍基地の整理・縮小・返還を国に求める。住民への説明なしの横田基地へのオスプレイ配備に反対

都民ファーストの会の政策のペラさが気になる・・・

 各党の政策を眺めて気になったのは、都民ファーストの会の政策の粗雑さです。

 同党は築地移転に関して、告示日前は「都知事の立場を尊重します」と言っているだけでした。

 告示日後は、当然、知事と同じ築地+豊洲の併用プランを掲示しています。

 結局、独自の判断は何もしていないので、「都知事の判断をチェックする」という議会の役割を半ば放棄しています。筆者は共産党には賛同できないのですが、「都民ファーストの会は有権者に「白紙委任状を与えよ」と要求しているのと同じだ」という同党の批判は当たっていると思います。

 小池都知事は過去の都議会をボスの顔色を窺う「忖度政治」だと批判。都民ファーストの党は「忖度だらけの古い都議会を新しく」と主張していますが、同党が議会で多数派を占めた場合、「小池都知事への忖度だらけの議会」が実現してしまいそうです。同党は、知事のために「反問権の導入」を提言しているのですが、これは知事へのリップサービスなのでしょうか。

 そのほか、同党が掲げる「議員の不当な口利き禁止」「議員の不当な都庁人事への介入禁止」に関しても「何をもって不当とするのか」という説明が不十分です。

 この「禁止」によって普通の議員活動にまで規制の網がかかったりしないのか?という疑問が湧いてきます。

 筆者のスタンスは、共産党や民進党、公明党の政策にはなじめないのですが、この三党のよしあしにかかわらず、個々の政策の中身は、都民ファーストよりも具体的に書き込まれているように見えました。

 公明党や共産党、民進党の政策には納得がゆかないのですが、政策はわりと一生懸命つくっているので、ついつい多めに掲載してしまいました(筆者の感想:公明党は小池知事に日和すぎ。共産党と民進党はお金を配ることばかり主張している)。

 他党と比べると、都民ファーストの会は「〇〇条例をつくります」と連呼していますが、その中身がいま一つ、よくわかりません。

 公約を見ていると、条例の中身を知らせずに都民に投票を求め、その後、説明のない政策を書き込みたいのだろうかと疑いたくなります。

 ここにも、共産党が批判する「白紙委任」を求める政治が垣間見えるわけです。

 筆者はもともと、小池氏が当選時には期待していたのですが、豊洲移転を先延ばしにし、何も決まらないので、最近は諦めてしまいました。

 小池都政はPRだけで突っ走っていますが、中身をつめないと、もう先はないと思います。