トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

トランプのイスラエル訪問。ネタニヤフ首相との会談で「中東和平」を目指す?

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(エルサレムの風景。出所はWIKI画像)

 トランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は5月22日にエルサレム市内で首脳会談を行いました。

 日経電子版(2017/5/23)では、歴代大統領が挫折した中東和平の実現に関してトランプ氏が意欲を示したことや双方の発言等が紹介されています(「中東和平、仲介役か火種か トランプ氏がイスラエル訪問」)。

  • 「この地域に安全と安定、平和をもたらす、またとない機会が目の前にある」「中東和平の実現をめざすという約束に感謝したい。私たちは目標を共有しており、達成に自信がある」(トランプ米大統領)
  • 「和平交渉を進展させるいい機会だ。大統領はこの問題に力を注ぐつもりだ」(ティラーソン米国務長官)
  • 「今回の訪問が和解と平和に向けた歴史的な道しるべとなってほしい」(ネタニヤフ首相)

  ただ、トランプ氏は大統領選にてイスラエル米大使館(現在はテルアビブにある)のエルサレム移転を掲げ、その時には、米国がエルサレムを首都と認めることを約束しています。ただ、イスラム教をはじめとする多くの国々がエルサレムをイスラエルの首都とは認めていないので、トランプ氏は自ら火種を同時につくっているわけです。

 前掲記事は「米議会が制定したエルサレムへの米大使館移転を求める法律の執行を、歴代米政権は『安全保障上の問題』として大統領令で凍結してきた」ことを指摘し、中東和平交渉の再開を視野に入れ、「トランプ政権が今回の訪問にあわせて大使館移転を表明する案を見送った」ことを報じています。

 そのほか、エルサレム訪問に際しては、メラニア夫人と娘婿のクシュナー大統領上級顧問(ユダヤ教徒)も同行し、ユダヤ教の神殿の一部である「嘆きの壁」を訪問し、ユダヤ教徒への配慮を見せています。

そもそもネタニヤフ首相ってどんな人?

 まずはネタニヤフ氏のプロフィールを見てみます。

 本名は「ビンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin NETANYAHU)」(ベンヤミンとも表記される。愛称は「ビビ」)。

 出身地はテルアビブです。1949年10月21日(67歳)に生まれました。

 イスラエル国民には兵役があるので、ネタニヤフ氏の職歴は国防軍から始まります。

 国防軍コマンド部隊(1967-72)で務めたのち、ビジネスコンサルティングに携わりました。

 イスラエルでは軍で専門スキルを磨き、退役後にビジネスの世界にに転身する人が多いとも言われますが、ネタニヤフ氏もそうだったようです。

 その後、兄(ヨナタン)の名を冠した民間のテロ対策研究機関に1979年に所属(ヨナタンはテロに対抗した1976年のエンテベ空港奇襲作戦で戦死)。その後、外交関連で職歴を重ねます。

 在米イスラエル大使館次席(82~84年)⇒国連大使(84~88年)⇒外務副大臣(88~91年)

 そして、88年に議員になります(クネセット総選挙当選。その後も当選を重ねる)

 91年にはマドリッド中東和平会議でイスラエル代表上級団員となりました。

 93年(44歳)で若くしてリクード党首となります。

 首相(93~96年)⇒外相(02~03年)⇒財務相(03~05年)を歴任。

 ひとたび下野し、09年以降、首相を務めています。8年も続く長期政権です。

 学歴を見ると、米マサチュセッツ工科大を卒業。ヘブライ語、英語、フランス語に長じています。『テロリズム―西側はいかにして勝利を手にするか』という著書も出版しました。 

トランプ氏は何を主張したのか?

 そのほか、ホワイトハウスHPに掲示された記事から、トランプ氏の気になる発言を拾ってみます。

 各紙報道では、必ずしも出ていなさそうな箇所を見ていきましょう。

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今日、我々はイスラエルと米国との間にある不朽の友邦との絆を確認した。その友情は、自由への愛と人間の尊厳への信頼、イスラエルの平和の持続との上に築かれている。

Today, we reaffirmed the unbreakable bond of friendship between Israel and the United States -- a friendship built on our shared love of freedom, our shared belief in human dignity, and our shared hope for an Israel at lasting peace.

我々はイスラエルの平和を望んでいる。

We want Israel to have peace.

しかし、我々は友である以上に、偉大なる同盟国だ。

But we are more than friends. We are great allies.

我々の前には数多くの機会が広がっている。

We have so many opportunities in front of us.

我々はそれらを共につかみ取らなければいけない。

But we must seize them together.

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それは繁栄への前進、テロリズムの悪を打倒すること、イラン政府との脅威との直面ーーそれは地域を脅かし、暴力と苦しみを引き起こすものだ。

That includes advancing prosperity, defeating the evils of terrorism, and facing the threat of an Iranian regime that is threatening the region and causing so much violence and suffering.

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サウジアラビアへの訪問の途次で、私は数多くのアラブ、イスラム世界の指導者と会った。その中にはサルマン王も含まれている。彼は我々を厚遇し、世界で偉大なる出来事が起きることを真に望んでいた。

In my visit to Saudi Arabia, I met with many leaders of the Arab and Muslim world, including King Salman, who treated us so beautifully and really wants to see great things happen for the world.

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それらの指導者はISISとイランの復興と台頭の野心、そしてイスラム世界にあまりにも広まりすぎた過激主義の脅迫に関しての懸念を共にした。

These leaders voiced concerns we all share -- about ISIS, about Iran’s rising ambitions and rolling back its gains, and about the menace of extremism that has spread through too many parts of the Muslim world.

私はテロリズムと憎悪に満ちたイデオロギーに対抗する彼らの協力の誓いに大いに励まされた。

I’m encouraged that they pledge cooperation to confront terrorism and the hateful ideology that drives it so hard.

アメリカは世界中に不必要な流血と殺害をもたらす暴力的なイデオロギーを根絶するための活動に対する、各国の支持と行動を歓迎する。

America welcomes the action and support of any nation willing to do the hard but vital work in eradicating the violent ideologies that have caused so much needless bloodshed and killing here and all over the world.

我々は共に働く。

We are willing to work together.

私は新しいレベルでの協力関係が実現しうると信じている。この地域と米国をより安全にし、世界をより繁栄させることができることを。

I believe that a new level of partnership is possible and will happen -- one that will bring greater safety to this region, greater security to the United States, and greater prosperity to the world.

この中には、イスラエルとパレスチナの平和を新たにすることが含まれる。私はイスラエル首相の平和実現への献身に感謝する。

This includes a renewed effort at peace between the Israelis and the Palestinians, and I thank the Prime Minister for his commitment to pursuing the peace process.

彼は熱心に活動しているが、それは容易ではない。私は、その試みは世界でもっとも難しい「取引」の一つだとも聞いているのだ。しかし、私は、最終的にはそれが実現されるという希望を持っている。

He’s working very hard at it. It’s not easy. I’ve heard it’s one of the toughest deals of all, but I have a feeling that we’re going to get there eventually, I hope.

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