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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

東芝の「決算」発表 監査法人の承認はなし ウェスティングデジタルとの係争も深刻

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(半導体を用いた集積回路。出所はWIKI画像)

  東芝が平成29年3月期の連結決算の見通しを5月15日に発表しました。最終損益が9500億円の赤字となる見通しが明かされています。綱川智社長は懲りずに「決算が発表できないことをお詫び申し上げる」と述べていたように、未だに監査法人の承認は得られていません。

 今後、6月末に提出する「有価証券報告書」には、監査法人の意見が必要なのですが、ウェスティングハウス社の米原発事業に関して、いまだにPwCあらた監査法人との意見が対立したままです。

 東芝に関して、「もういい加減、終わりなんじゃないのか」と思う人も増えていますが、綱川社長は「民事再生法など、法的清算をするつもりはない」とも述べています。

東芝の発表した「決算」の数字(監査法人の承認なし)

 内容に今一つ信憑性を持てないのですが、まず、東芝の発表した決算の数字を見てみます。 

 2016年度業績見通しは以下の通り。

  • 売上高:4兆7000億円(前年比3.5%減)
  • 営業利益:2700億円(前年比7530億円増)
  • 税引前利益:2400億円(前年比6397億円増)
  • 当期純利益:-9500億円(前年比4900億円減)
  • 株主資本:-5400億円

 セグメント別に見た数字(売上高/営業損益)はどうなったのでしょうか。

  1. エネルギーソリューションシステム:9800億円(前年比8%減)/-360億円(+848億)
  2. インフラシステムソリューション:1兆2600億円(同7%減)/580億円(+654億)
  3. リテール&プリンティングシステム:5100億円(同6%減)/160億円(+1007億)
  4. ストレージ&デバイスソリューション:1兆7000億円(同8%増)/2470億円(+3470億)
  5. インダストリアルICTソリューション:2400億円(同7%減)/120億円(+33億)

 全部カタカタで何のことやら分からないので、イメージがわくように上記5部門の事業を並べてみます。

  • 1:原子力、火力、水力、太陽光等の発電設備。送変電事業等。
  • 2:水や環境システム、セキュリティ、自動化、 ビルや施設、エレベーター、照明、空調、鉄道等
  • 3:コンビニのPOS、デジタル複合機、バーコードシステム等
  • 4:半導体事業(メモリ、ダイオード、トランジスタ、センサ、車載用デバイス、無線通信等さまざま)
  • 5:データセンターやクラウド事業、ビッグデータの活用等。

 ネーミングからしてもはや、東芝は何をしているのかが分からないのが現状です。もっとも、一言で説明が難しくなったから、カタカナ表記にしたのかもしれませんが・・・。

 東芝の平田政善氏(取締役代表執行役専務)は、メモリの営業利益率(年間で20%強)の高さを強調しましたが、上記事業で見ると、やはり、4の増益額が特に高いようです。

記者会見の気になる発言

 次に、産経ニュースの報道(【東芝会見詳報】2)から、気になる発言を抜き出してみます(2017.5.15「ウエスタンデジタルに売却差し止めの根拠はなし。情報漏洩は看過できない」)
ーーーー

決算短信を公表できない理由

⇒「手続きの詳細は公表できない。独立監査人に制約を与えることはできないが、当方の決算書類に具体的な指摘を受けているわけではない。まだ監査中」(※なので発表できず)

調査は4月11日に終わった?

⇒「4月11日でほぼ終わったというのは監査委員会で行われた3四半期分の調査。今回は通期ということで、調査を継続している」

監査法人は交代する?

⇒「交代するとかは聞いていません」

米ウエスタンデジタル(WD)が申し立てた半導体事業の売却差止はどうなる?

⇒「分社化したメモリー事業のマジョリティー譲渡が、WDの主張するような契約違反に抵触する事実はなく、止める根拠はない」「持ち分の譲渡を含めて、協業する相手方の同意はいらない」「WDがサンディスクを買収した場合も、東芝の同意は要らなかった。われわれはこのあたりを主張している」

売却先の二次入札の期限に変更はないのか

⇒「変更なく、5月19日で進めている」

法的整理は?

⇒「検討していない」

WD社員の工場締め出しの件は?

⇒「WDの社員について、きちんとした契約ができていない状況で、当社の機密情報が流れている状況だった。両社の信頼関係の元で協議してきたが、これ以上、情報漏洩のリスクが看過できない」

 ーーーーー

 このうち特に注目を集めたのはWDとの係争の件です。

 米ウエスタンデジタル(WD)は国際商業会議所の仲裁裁判所に半導体事業の売却差止を申請しましたが、これに対抗し、東芝は三重県四日市市の半導体工場に共同出資したWDに半導体子会社の売却を認めなければ15日以降にWDに関わる従業員を工場から閉め出すことを決めています(東芝とWDとの通信も切断される模様)。

  仲裁裁判所の裁定が出るまでには時間がかかるので、手続きが遅れれば、東芝の再建事業にも影響が出ます。

 東芝は半導体事業に関して5月19日に2次入札を締め切り、6月に売却先を決める予定でしたが、査定がそもそも遅れ、その後、WDの申し立てによって、時期がどんどん遅れそうな雲行きです。

  半導体事業を売却しても収益源がなくなるだけですが、売れないと財務健全化の見通しが立たず、進んでも地獄、引いても地獄といった状況になっています。

東芝はいつまでゴーイングマイウェイを続けるのか? 

 いずれにせよ、本年2月以来、相次ぐ決算発表の延期や監査法人の承認なしの”決算発表”の強行など、東芝のゴーイングウェイぶりは際立っています。大きすぎる企業が倒産した場合、甚大な社会的影響が出るので、それを恐れて、東芝の開き直りが看過されてきた面もあるわけです。

 他社では容認されがたいことが、超大手企業の開き直りによって強行されているので、2015年以来、「不正会計」というのは、要は粉飾決算ではないのか。ライブドアの時はあれだけボロクソに叩いたのに、東芝の場合だったら甘いではないかーーといったことも延々と書かれ続けています。

  東芝の株価は昨年末から急降下し、最近は浮上気味ではありますが、果たして、経営再建はなるのでしょうか。

 443円(12/26)⇒301円(1/11)⇒184円(2/17)⇒183円(3/16)⇒241円(3/31)⇒229円(4/10)⇒261円(5/15)

 今後の日程を見ると、半導体事業の売却交渉や 6月末に提出する「有価証券報告書」の行方が大きな山場になりそうです。