トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

トヨタが二期連続の減益 最大のリスクは・・・やはりトランプ政権?

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(メキシコ都市の夜景。出所はWIKI画像)

  トヨタ自動車の豊田章男社長は3月10日に3月期の連結決算を発表しました。

 売上高は27兆5971億円(前期比2.8%減)、営業利益は1兆9943億円(同30.1%減)、最終利益は1兆8311億円(20.8%減)。2期連続の減益となり、豊田社長は、これをスポーツでの連敗にたとえていました。

 トランプ政権誕生以降の時代の波にもまれつつあるトヨタ自動車は、今後、どうなるのか。

 今回は産経ニュースが報じた記者会見詳報から、その主な発言をピックアップしてみます。 

トヨタは二期連続の減益 

 北米市場に関して、永田副社長は2017年の新車市場を1720万台程度と見積もり、本年にモデルチェンジする中型車『カムリ』、SUV(スポーツ用多目的車)の『C-HR』、ピックアップトラック等の販売促進に力を入れる以降を明かしていました。

 そして、問題のトランプ政権に関しては、以下のように述べています。

「新政権の打ち出す通商政策、税制を見通すことは大変難しい」

「トヨタはその町一番の会社になることを目指している。雇用、投資、調達、人材育成だけでなく他産業への貢献も続けていく。米国に貢献したい気持ちを理解していただけるよう努力したい。町一番の企業市民になるためには競争力を維持していかなければいけない」

(産経ニュース【トヨタ決算会見詳報(1)】2017.5.10)

  その後、豊田社長は、トヨタが大きくなりすぎたことを問題視し、地域ごとの課題に対応するためにカンパニー制を導入し、構造改革を進めることや、二期連続の減益の中でも利益を生まないところに投資を行わなければいけないこと等を指摘しました。

 そして、永田理副社長は、米国の保護主義に対しては、トヨタへの理解者を増やす意向を明かしています。

「現地の生産や調達の強化、部品ごとの品目で見ると日本の方が品質で勝っているものがたくさんある。競争力を改善する意欲を持った仲間がそこにいるかを見極めた上で、政治的な圧力だけではなく現地生産の進化を考えていきたい」

(産経ニュース【トヨタ決算会見詳報(2)】2017.5.10)

 本年1月5日には、豊田章男社長が5日に記者会見し、工場計画の変更なしと述べたのですが、その後、トランプ氏がトヨタ自動車をツィッターで攻撃したことが物議をかもしました。

(※ツィートの内容:「トヨタ自動車はアメリカ向けのカローラをつくる新工場をバハ(※メキシコ最北州)でつくると言った。とんでもない!アメリカで工場をつくれ。さもなければ国境でたくさん税金を払え」)

 トランプ氏は6日に反撃し、トヨタ自動車はトランプ政権への対策として、1月9日にアメリカで100億ドルの投資を五年間かけて行う意向を表明。年内にはケンタッキー州の工場でセダン「カムリ」の新型車の生産等を始める計画があることが各紙で報道されました。

 トヨタが米国対策に力を入れている背景には、トランプ政権への対処を間違えれば、品質問題から米世論の反発を招き、社長が米議会に呼び出された2010年以来の危機に発展しかねないという懸念があるわけです。

依然、メキシコ工場の建設を進めるトヨタ

 トランプ氏は、メキシコではなく米国でつくれと自動車メーカーに文句を言っていました。

 しかし、トヨタ側の言い分としては、メキシコの増産は、米国市場で売る車を増やすためなので、アメリカの雇用を減らすわけではありません。

 そのため、記者会見でも、メキシコ工場の建設を進める意向を明かしていました。

 永田理副社長「メキシコ工場は建設は進行中です。ひとたび進出すると決めたからにはよほどの大きな環境変化がない限り、雇用などに責任があるので責任感を持って進める」

 豊田章男社長「進出した以上、街の人の笑顔を考えることがその国の貢献になる。その国で自動車を発展していくには、競争力だと思う」「会社の発展を考える従業員、従業員を考える会社という『ギブとギブ』の精神で発展を目指しているし、そういう判断でメキシコに限らず進出している各州もすべて持続的にやっている」

(産経ニュース【トヨタ決算会見詳報(3完)】2017.5.10) 

トヨタの前にトランプ政権が立ちはだかるのか?

 国ごとに頻度が違いますが、中国やメキシコ、日本に対して、トランプ氏は貿易不均衡の是正を訴えています。

 アメリカの貿易赤字は7456億ドル(2015年)で、その約半分が対中国の赤字です。対日赤字は700億ドルほどですが、無視できない規模なので、時折、我が国も批判の対象になっています。

 9日には、ウィルバー・ロス米商務長官がロイター通信のインタビューに応じ、そこでも通商問題が話題にのぼりました。

 2017年には、トランプ政権が抱える3%の経済成長目標の達成は難しいことや、ドルは強すぎるのではなく、他の通貨が弱すぎること等を指摘し、通商問題について、複数の反ダンピングおよび反補助金調査に取り組んでいることを明かしたのです(ロイター「インタビュー:米政権の3%成長率目標、今年は達成不可能=ロス商務長官」2017/5/10 ※経済成長目標が達成できないと見た要因は減税やインフラ投資等の政策実現の遅れ等)

「われわれが制限したいのは貿易協定もしくはWTO(世界貿易機関)ルールに違反する貿易だ。合意内容を実行しないのならば、貿易協定を結ぶ意味がない」と語った。

 そのうえで、WTOルールでは違反国に制裁を科すのに時間がかかると指摘。また、WTOの最恵国待遇条項では加盟国間の関税率の格差が広がることが許されているため、米国はこれを特に問題視しているとした。

「米国の見解では、最恵国待遇条項は実際には貿易自由化を阻害している」と批判、互恵的(レシプロカル)関係が尊重されれば関税率は低下するとした。

 ただ、互恵的関係によってWTO加盟国間で関税率をいかに均一化するかについては「今後の課題」と述べた。

  ロス氏のインタビューの内容は、経済成長目標を実現できないので、不足分を通商で取り戻したいと言っているように見えなくもありません。

 現時点では、トランプ氏はトヨタに対して何も述べていませんが、今後、ロス商務長官やUSTR代表らがどのような言動を見せるのかを、しっかりと注視しなければいけないでしょう。