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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

トルクメニスタンに岸田外相訪問 中央アジアは独裁者の人口密度が高い?

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 (トルクメニスタン国旗。wiki画像 )

  岸田文雄外務大臣は5月1日に中央アジア五カ国の外相会合にて北朝鮮の核実験やミサイル発射は断固、容認できないという共同声明を出しました。

 しかし、その際に、訪問先のトルクメニスタンに関して、「よく考えてみたら、この国も独裁国なのではないか?」という疑問が呈されています。

 産経ニュース(2017.5.4)では、岸田外相がトルクメニスタンについた時、同国のベルドイムハメドフ大統領を出迎えるために、競馬場の入り口で、他国の外交官と一緒に(総勢100人ほど)大統領到着の1時間前から整列させられたと報じられています(「岸田文雄外相、『中央アジアの北朝鮮』独裁者に1時間待たされる 4月末の訪問時」)。

 他国の外交官を集めて、マスゲーム風に笑顔で拍手させるという独裁者の威光演出に参加させられたのですが、同紙によれば、トルクメニスタンは「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれ、「国際人権団体から、世界で最も抑圧的な国の一つに挙げられている」そうです。

 日本人にはあまりなじみのない地域ですが、中央アジアは資源産出やロシアや中国の狭間にある位置関係から、外交上、一定の重要性を保ち続けています。

 岸田外相は、日本が中央アジア5か国向けに「数次ビザ」(有効期間内に何度でも入国可能)発給対象者を拡大することや、運輸、物流分野の発展のために240億円程度の経済支援を行うことを決めました。

 中央アジア五カ国は、トルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタンからなりますが、今回は、よくわからないこの地域の概略を紹介してみます。

中央アジアは独裁者ばっかり? 

 中央アジアは前掲五カ国が中心ですが、その範囲には、中国の新疆ウィグル自治区やアフガン北部、イランの一部なども含まれます。

 風景でイメージすると、シルクロードの隊商が通り、遊牧民が多数、住んでいた地域です。

 もともとイスラム教徒が多く、冷戦期にはソ連領になっていました。

 ソ連崩壊以降、それぞれの国が独立したのですが、独裁的な大統領がやたらと多い地域になっています。

 2015年の産経ニュースでも、「『中央アジアの北朝鮮』、金の大統領像お披露目 トルクメン、個人崇拝強化」(2015/5/6)と報じられており、同紙はトルクメニスタンには批判的です。

 そこで、中央アジアの大統領は何年ぐらい務めているかを見てみましょう。

  • トルクメニスタン:ニヤゾフ終身大統領(1990~2006)⇒ベルドイムハメドフ大統領(~現在)
  • ウズベキスタン:カリモフ大統領(1990~2016)
  • カザフスタン:ナザルバエフ大統領(1990~現在)
  • キルギス:アカエフ大統領(1990~2005)、その後、数年で三度の政権交代。
  • タジキスタン:ラフモノフ大統領(1994~現在)

 筆者もやや唖然としているのですが、20年以上、大統領を務めているツワモノが目につきます。

 途中で政権が倒れても16年ぐらいは続いているので、異様に長い任期です。

 民主主義の形はとっていますが、ここまでくると、その内実は王政に近いのかもしれません。

 以下、外務省データで基礎情報を見てみます。

中央アジア諸国の面積と人口はどの程度?

 まず、面積/人口を見てみます。

  • トルクメニスタン :48.8万㎢(日本の1.3倍)/540万人(2016年)
  • ウズベキスタン:44.7万㎞(日本の約1.2倍)/3030万人(2016年)
  • カザフスタン:272.49万㎢(日本の6倍以上)/1790万人(2016年)
  • キルギス:19.89万㎢(日本の約半分)/600万人(2016年)
  • タジキスタン:14.3万㎢(日本の約40%)/870万人(2016年)

 やたらと広く、日本に比べると人口はまばらです。

中央アジアのGDPと失業率など

 GDP/実質成長率/失業率で表記します。

  • トルクメニスタン :365.7億ドル(2016年)/失業率11%
  • ウズベキスタン:667.9億ドル(2016年)/失業率5.1%
  • カザフスタン:1,843.6億ドル(2015年)/失業率5%(2015年)
  • キルギス:66.5億ドル(2015年)/失業率7.4%(2015年)
  • タジキスタン:92.4億ドル(2014年)/失業率2.5%(2013年)

 トルクメニスタンの主要産業は鉱業(天然ガス・石油など)、農業(綿花)、牧畜。

 ウズベキスタンは綿繊維産業、食品加工、機械製作、金、石油、天然ガスが盛ん。カザフスタンは鉱業、農業、冶金、金属加工など。キルギスはGDPの三割が農業と、畜産業で、鉱業(金採掘)も盛んです。

   タジキスタンの主要産業は農業(綿花)、アルミニウム生産、水力発電。

 各国の実質経済成長率は以下の通り。

    トルクメニスタンが5.3%。ウズベキスタンが6%、カザフスタンが1.2%、キルギスが3.5%、タジキスタンが6.7%。

    しかし、前掲のようにこの5ヶ国は独裁的な長期政権が延々と続いていたので、統計(特に経済成長率)を鵜呑みにするのは危険です。

   中国のように政治的に操作された数字である可能性が高いからです。

 ・・・

 いろいろと調べてみて、筆者も日本人になじみの薄い地域に驚かされました。

 特に、独裁者の人口密度の高さに・・・。