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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

トランプ大統領がアメリカの法人税減税を指示 米税率は15%、日本は30%の時代が来る?

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(米議会。出所はWIKIパブリックドメイン画像)

  トランプ大統領はアメリカの法人税を35%から15%に下げることを4月24日に指示しました。

 同氏の税制改革案は26日(米国時間)に公表される予定ですが、米共和党の減税案では法人税は20%なので、大統領と議会が一枚岩となれるかどうかも注目されています。

 各紙報道では米国の法人税は35%と報じられていますが、これは名目的な数字なので、企業にかかる負担を勘案した実質的な数字(法人実効税率)では40%と見積もられています。

  トランプ案であれ共和党案であれ、減税が実現したら、「自由の国」を謳いながら、世界随一の高税率国家だという逆説は終わることになります。

 この米国発の「減税革命」の影響について、今回は考えてみます。

 世界各国の法人税を比較してみる

   恐らく、この法人税の行方にいちばん戦々恐々としているのは法人税減税に抵抗を続けてきた財務省なのかもしれません。

 財務省HPの法人実効税率の国際比較では、各国税率は以下の数字になっています。

  • 米国:40.75%
  • フランス:33.33%
  • ドイツ:29.72%
  • 中国:25%
  • 韓国:24.2%
  • イギリス:20%
  • シンガポール:17%

 EU離脱を選択後、その影響を緩和する策の一つとして法人税を2020年に17%へと下げ、アイルランドも企業誘致のために12.5%の低税率を維持しています。

 こうしてみると、米国と英国が低税率に舵を切った場合、日本やフランス、ドイツ等は高税率のままに取り残されることになりそうです(フランス大統領選でマクロン候補は法人税減税を掲げていることにも注意が必要)。

法人税減税が難しい日本とドイツ

 現実問題として、減税がどの程度できるかは、税収のうち法人税がどれだけの割合を占めているかとも関係があります。「諸外国の法人税改革と日本への示唆」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)を見ると、各国の税収のうち法人税が占める割合が以下のように説明されていました。

  • 日本:21.4%(地方政府の税収の2割が法人税)
  • ドイツ:7.9%(地方政府の税収の3割が法人税)
  • アメリカ:13.1%
  • イタリア:9.3%
  • オランダ:8.8%
  • ドイツ:7.9%
  • スウェーデン:7%

 日本は法人税減税がしにくい国の一つになっており、地方政府の影響力が強く、財政規律が厳しいドイツも法人税減税に踏み込みにくそうです。

 米英の選択によって、法人税減税による企業誘致と国際競争力強化の競争が始まった場合、今のままだと日独両国は取り残される可能性があります。

 いや、財政を維持するためには、そんな無謀な減税は続かない、という見方もあるわけですが、企業から見れば法人税は低いにこしたことはありません。

 世界最大のGDPを誇る米国が法人税減税に踏み込んだ場合、英国だけでなく、ほかにも追随する国が出てくる可能性があるので、その動きは無視できないはずです。

    産経bizの記事(2014.8.15)では、同社が主要121社に行ったアンケートでは望ましい法人実効税率の水準について、8割が20%台と答えています。50%程度の企業が25〜29%が望ましいとし、25%の企業が20%前半が望ましいとしたようですが(法人税の実効税率「20%台」8割 主要121社アンケート)、これはオバマ政権下の日米の税率を前提としているので、トランプ政権が減税を実現させた場合は、企業の見方も変わってくるはずです。

   トランプ政権誕生と英国EU離脱に伴う新しい税制改革の波に日本が対応できるかどうかが問われています。