読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

金正恩政権 核実験を準備か 米軍攻撃のシグナルは在韓米国民への退避勧告

 f:id:minamiblog:20170414072547p:plain

(北朝鮮地図。出所はWIKIパブリックドメイン画像)

  4月15日は北朝鮮の建国者である金日成の生誕105周年にあたります。

 そのため、この日に合わせて金正恩政権が6度目の核実験を行うのではないかと懸念されています。

 北朝鮮分析サイト「38ノース」(米ジョンズ・ホプキンズ大が運営)は3月28日に、北朝鮮北東にある豊渓里(プンゲリ)において実験場の坑道入口に運搬用トレーラー等の存在を確認し、坑道内から地上に向けて通信ケーブルが設置され、それがトレーラーにつながっている可能性を指摘していました。坑道内の機器の乾燥状態を保つために水を排出したことを含めて、これは実験準備の進展を示唆するものだと述べていたのです。

 そして、4月12日には、主事務棟の中庭に防水シートで覆った機器等を載せた11個前後のパレットと人員の活動等を確認し、実験準備が完了したという認識を公にしています。

 米空母カールビンソンを動員したトランプ政権の威嚇に負けない指導者の姿を演出するために、金正恩政権が核実験に踏み込むのかどうかが注目されているわけです。

金正恩朝鮮労働党委員長の動向は? 

 金正恩氏の動向では、4月11日には北朝鮮最高人民会議に出席したことが報じられています。

 同国では朝鮮労働党が実権を握っているので、これはおざなりの「議会」なのですが、憲法上は最高機関とされています(予算や指導部の人事等が議題にのぼっている)。

 金正恩氏はこの会議に2014年、15年には立て続けに欠席していました。

 なぜかというと、この「議会」に出席した場合、居場所が特定されるので、米軍から「金正恩排除」のための奇襲攻撃を受ける可能性があるからです。

 替え玉が出席している可能性もあるので、断言はしかねますが、この議会に出席したのならば、金正恩氏は、米軍攻撃の可能性が例年よりも上がったわけではないと考えているのかもしれません。

 そのほかのニュースを見ると、金正恩氏が13日に最精鋭の特殊部隊の訓練を視察したことが注目されています。

 朝鮮中央テレビの発表では、軍用機からパラシュートで降下する兵の訓練等を見、同氏は「決戦前夜」に合わせて戦闘訓練に励むよう激励したとされています。

 4月15日に核実験は行われるのか?

 昨年の4月15日には準中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射し、失敗しているので(空中爆発)、北朝鮮が同日に示威的な実験(ミサイルもしくは核)を行う可能性が警戒されています。

 4月25日には朝鮮人民軍の創設記念日である建軍節が来るので、この日も警戒されています。昨年は4月23日に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と称して飛翔距離約30kmの実験が行われました。

  ただ、核実験が行われた日時はまちまちで、必ずしも金日成生誕日等に合わせているわけではありません。

 過去を振り返れば、2016年の9月9日には9時半(日本時間)ごろ、北朝鮮北東部の豊渓里(ブンゲリ)付近でマグニチュード5.3の人工地震波が検知され、北朝鮮が行った核実験により、大騒ぎになりました。

 同年1月6日に核実験が行われた場所の近くから震源ゼロの地震波が来たので(地震は地表から10~20kmほど下で起きることが多い)核実験が行われたことが分かったわけです。

 日本は抗議と制裁強化を行い、米国や韓国等と協調して対処する方針を固めたのですが、この時点ですでに北朝鮮の核実験は五回目です。

 もっと前にさかのぼると、北朝鮮は2003年1月に NPT脱退を宣言し、06年10月に第一回目の地下核実験を行いました(同年7月に長距離弾道ミサイルを発射)。

 そして、09年5月に二回目の核実験(5月に長距離弾道ミサイル発射)。
 13年2月に三回目の核実験を行っています(12年12月に長距離弾道ミサイル発射実験に成功)。

 こうしてみると、核実験に関しては、やや奇襲的に行ったものが多いようです。

 なお、レコードチャイナでは、4月6日に米国のシンクタンク(CSIS)が過去の実験の記録から、30日以内に北朝鮮がミサイルを試射する可能性は78%だと指摘したことに注目していました。14日以内だと55%なのだそうです(出所:北朝鮮、30日以内に別のミサイル試射の可能性は78%―米シンク... - Record China

在韓米国民への退避勧告が出たら、極東情勢は一変

 北朝鮮の動きによっては米軍が攻撃をしかける可能性がありますが、シリア攻撃とは違って、トランプ政権は安倍首相に事前協議を行うことを伝えています。

 おそらく、そうすることで、米国民や米国の友好国の人民が逃げる時間を確保しようと考えているのでしょう。筆者記事で昨日取り上げたように、北朝鮮ミサイル施設等を狙って限定攻撃をしかけても、北朝鮮が全力で応戦すればソウルを火の海にできるからです(全面戦争時の死者予測は50万とも100万ともいわれる)。

「アメリカ・ファースト」を掲げながら、アメリカ人の犠牲をいとわず、朝鮮半島で戦争再開に踏み込んだ場合は、トランプ氏にとっても公約にそぐわない結果になってしまいます。

 現時点では在韓米国人への退避勧告は出ていないので、これなしに米国がいきなり奇襲攻撃をしかけるとは思えません。

 金正恩氏が北朝鮮最高人民会議に出てきたのも、もろもろの米国の兆候を見たうえでの判断とみられます。

 現時点で、米国の動向を見るうえでは、在韓米国民への避難勧告が出るかどうかが、一つの大きな指標になっているのではないでしょうか。