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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

花粉症 2017年のピークはいつ? スギとヒノキ、全国各地での予測一覧

社会・文化 全記事一覧

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(静岡天城山麓にある太郎杉。出所はWIKIパブリックドメイン画像)

 花粉症が「鼻につく」今日この頃、涙を流しながら出勤ーー。

 2017年の花粉飛散は関西が多くなるともいわれていますが、それとは関係なく筆者は毎日、花粉の襲来に脅かされています。

 別に悲しいことがあるわけではないのに、花粉症に涙する人が増えてきたので、この問題を取り上げることにしました。

2017年、花粉の飛散予測はどうなっている?

 日本気象協会の予測では、多くの地域でスギ花粉の飛散は3月上旬~中旬、つまり今ぐらいがピーク。ヒノキ花粉の飛散は4月前半頃と見られているようです(以下、出所は「2017年春の花粉飛散予測(第4報) - 日本気象協会 tenki.jp」)

    • 福岡:スギ⇒2月下旬~3月上旬/ヒノキ⇒3月中旬~4月上旬
    • 高松:スギ⇒3月上旬~中旬/ヒノキ⇒3月下旬~4月中旬
    • 広島:スギ⇒3月上旬~中旬/ヒノキ⇒4月上旬~4月中旬
    • 大阪:スギ⇒3月上旬~中旬/ヒノキ⇒3月下旬~4月中旬
    • 金沢:スギ⇒3月中旬~3月下旬
    • 名古屋:スギ⇒3月上旬~中旬/ヒノキ⇒3月中旬
    • 東京:スギ⇒3月上旬~中旬/ヒノキ⇒4月上旬~中旬
    • 仙台:スギ⇒3月上旬~中旬

 筆者の場合、例年では3月半ばごろから花粉症にやられ始めていたので、必ずしも花粉飛散のピークと各人の発症は一致しないのかもしれません。3月中旬を過ぎても油断は禁物です。

 北海道ではシラカバ花粉の飛散もありますが、前年比で見た時に花粉飛散量が2倍超の地域もあるので、2017年は特に要注意の年だとも言えます。

      • 北海道:シラカバ⇒50%
      • 東北:スギ⇒40%、ヒノキ⇒70%
      • 関東・甲信:スギ⇒70%、ヒノキ⇒80%
      • 北陸:スギ⇒140%、ヒノキ⇒90%
      • 東海:スギ⇒240%、ヒノキ⇒140%
      • 近畿:スギ⇒290%、ヒノキ⇒110%
      • 中国:スギ⇒170%、ヒノキ⇒100%
      • 四国:スギ⇒260%、ヒノキ⇒110%
      • 九州:スギ⇒270%、ヒノキ⇒110%

花粉症を含むアレルギー性鼻炎を持つ人は47.2%?

 厚生労働省が平成18年に全国11カ所で行った調査では「花粉を含むアレルギー性鼻炎」の症状を持つ人の割合は47.2%でした。調査対象となる年齢層のうち、半分近くが何らかのアレルギーを持っていることになります。

 その中で病院で診断を受けた人の数は、推計で66万3千人。その人口構成比は以下の通りです(※出所は厚生労働省「アレルギー疾患の現状等」平成28年2月3日)

  • 0~19歳:43%
  • 20~44歳:19%
  • 45~69歳:25%
  • 70歳以上:13%

 働き盛りの年齢層は花粉症で病院に行く暇がないのか、未成年者の比率が非常に高くなっています。

アレルギー鼻炎(花粉症を含む)の経済損失は年間4兆円以上?

 『週刊東洋経済』(2017.2.25:P33)では岡本美考氏(千葉大学教授)の試算として、花粉症による日本全体の経済的な損失額は4兆3966円にのぼることが紹介されています。

 その手順は以下の通りです。

  1. 月あたりの日本人の平均収入(29万6700円)÷年間労働日数(47.5週×5日)=1日あたり1万5048円
  2. 花粉症等による患者の労働時間の損失は12.74日(推計)
  3. 花粉症等による患者一人当たりの経済損失は年19万1793円(※15048×12.74)
  4. 19万1793円×2292万4944人(想定される患者数)=4兆3966億円(※万円以下の単位は省略)

 GDPの0.8%にのぼる規模なので、やや過大に見えなくもありません。

 この試算の通りなら、花粉症対策が完全に行われれば、例年のGDP成長率に近い規模の数字が上増しされることになります(※2016年のGDP成長率は実質1%、名目1.3%)。

 昭和の時代にベストセラーになった『知的生活の方法』(渡部昇一著)には「クーラーがなくて仕事がはかどらない。日本は涼しい夏が過ごせるドイツ等に比べると不利だ」などと書かれていますが、22世紀に入ったら、「100年前の日本人は花粉症のせいで他国にハンデを負いながら経済競争をしていた・・・」ということを振り返るようになるのかもしれません。

 いずれにせよ、花粉症やアレルギーが日本経済にとってマイナスの効果を持つこと自体は間違いないでしょう。

(※前掲の計算のうち、1日あたり1万5048円という数字がやや高く見えるのは、筆者の収入が日本の平均年収を下回っているせいなのだろうか・・・)

花粉症が広がる原因は林業政策の失敗のせい?

 前掲の東洋経済記事のネット版を見ると「『花粉症対策スギ』の普及が進まない根本理由」(筑紫祐二:2017年3月4日)という興味深い記事が出ています。

 そこでは、まず、以下の三点の事実が指摘されています。

  • 日本では杉林が国土の約2割を占める(森林率は国土の約7割)
  • 戦後復興期の木材需要にこたえるために1960年代から日本はせっせと植林
  • 樹齢46~55年のスギは収穫期に入ったが、伐採は進まない

 この記事では伐採が進まない理由として「安い輸入木材との競合にさらされ、伐り出しても採算が取れない」ことがあげられていました(※以下、「」は前掲記事の引用)

 そのため、「高級木材とするために欠かせない、育成途中で必須となる枝打ちや間伐が後継者不足で行われず、木材として使い物にならないので捨て置かれた山」が多数、出現。さらには、山奥で植林をした結果、スギを伐り出せなくなってしまうケースも多いようなのです。

「スギは樹齢25~30年を経たあたりから花粉を放出し始め、その後、100年まで勢いは衰えることがない」ため、今の日本人は、元気はつらつとしたスギの花粉飛散の猛攻にさらされることになりました。

 対策としては、伐採したスギを「建設資材などとして売却し」、「花粉が少ない苗木」に植え替える作業が進められていますが、それができた地域は15年度に植えられたスギ全体の2割程度にすぎません(約1984万本のスギ苗木のうち、花粉が少ない対策苗木は426万本程度)。

 対策は遅々として進まないわけです。

結局、花粉症は自衛するしかないらしい

 とりあえず、政府の対策は期待薄なので、結局、自衛するしかないようです。

 まずは予防のためのマスクや花粉防止用のメガネ、顔用スプレー、空気清浄機の使用が考えられますが、事後対策の鼻炎治療薬に関しても、最近はジェネリック品の薬も増えてきています。

 ジェネリック品というのは、医薬品の有効成分に関する特許が切れた後に出される薬品(後発品)です(後発品でも先発品と同じ成分を使える)。

 米国の医薬業界では特許期間を延ばして儲けたがっていますが、最近はジェネリック品も広まってきています。特許切れ薬品は値段が下がるので、コストカットのためには、この種の鼻炎治療薬を使うのも一手です。

(※前掲の『週刊東洋経済』の記事〔P40〕は「鼻づまりが治まったらほかの薬に切り替えたほうがいい」と断りがきを入れて「ディレグラ」を紹介していました。メーカーのサノフィ株式会社はこの薬品を「中等症以上の鼻閉症状を有するアレルギー性鼻炎患者に対し、1剤でアレルギー性鼻炎の3大症状(くしゃみ、鼻みず、鼻づまり)に優れた改善効果を発揮します」と紹介している。メーカーのプレスリリースはこちら

 近年は、花粉症対策のコートも売り出されているので、こちらを工夫する手も「あり」かもしれません。

 繊維表面に花粉がつきにくくする工夫がこらすだけでなく、近年では「洗えるコート」が出現しています。洗濯機でも「洗えるスーツ」の技術を活かしたわけです。

 確かに、よく洗うことができれば、付着する花粉の量は減るので、論理的には筋が通っています。

 体調を崩しやすい季節の変わり目に花粉症が重なるときついので、3月の生産性を高めるために、花粉症対策に多少はお金をかけてもよいのかもしれません。

 特に就職活動真っ最中の学生の場合、健康さをPRするためにも花粉症対策が必要でしょう。

 3月~4月という年度の変わり目に全力でスタートダッシュを切るために、花粉症対策の知恵を磨きたいものです。