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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

生鮮食品値上がりで家計節約は必至? 16年の電気、ガソリン代はどうなった?

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にんじん価格が前年比21.4%増。こんなに値上がりしたら、ウサギの家出が始まるぞ・・・。(出所はWIKIパブリックドメイン画像)

 早いもので、12年にアベノミクスがスタートしてから、もう4年以上がたっています。

 消費税を8%にしてから消費が盛り下がった感覚が続いているのですが、名目GDPや株価等で見ると、民主党政権の頃よりはよいので、「大幅な好景気はないものの、昔帰りはしたくない」というのが、多くの方の実感なのかもしれません。

 街中のスーパーで買い物をすると、筆者のような売れ残りの半額セールを目当てにしたバーゲンハンターが多数出没しているので、多数の家庭が一円でも安く生活費を節約したがっているようにも思えます。

 昨今、半額商品が出る時間帯にスーパーに行くと、先客に買い占められているケースが増え、筆者は毎日、競合者の増加を実感しています。

 14年4月の消費税増税前の筆者は朝は200円程度でパンを買い、昼間に400円台のお弁当、夜に300数十円台の牛丼やソバなどを食べていることが多かったのですが、それ以降は、スーパーの半額セールが始まる時間帯に、一日の上限800円程度で半額品や三割引き品を買い込むようになりました。

 この数字を比較すると、不思議なことに、増税前の食糧費(1日約1000円)よりも増税後の食糧費(1日800円)のほうが安くなっています。「増税が消費者に生活防衛のエンジンを着火させたらどうなるか」という、超ミクロの家計単位での実例ができてしまったようです。

 油断していた家計が切り詰められ、結局はコスト減になったのですが、こういう人が増えると、スーパーの売上は減りますので、経済全体にはマイナスになります。

 筆者にも愛国心はないわけではありませんが「増税を耐え忍んでお国のために高い食料品を買え」といわれても、そこまでやる財力がありません。

 こうした経緯でバーゲンハンターが増えているのではないかと思うのですが、今日は景気と身近な生活費にかかわる物価の問題について考えてみます。

消費税増税後に伸び悩む日本経済

 四半期別の実質GDPの成長率で見ると、最近の日本経済は「伸び悩んでいるが、少しはプラスが出ている」というのが現状のようです

 2013年度が2.0%、2014年度が-0.9%、2015年度が0.8%、2016年度が1%ですが、要素別に見た時に一番大きく動いたのは、14年度の「民間住宅:-11.7%」です。

 消費税増税前に家を買い、その後に買控えが起きたと見られていますが、他の要素を見ても14年の家計消費の下がり具合は-2.7%なので、ここだけは異常値が出ています。増税前に大がかりに家を買い、その後は切り詰めている方もかなりいるのかもしれません。

 もう少し細かく四半期別の実質成長率(季節調整済)で見ると、15年10-12月期が-0.3%、16年1-3月期が0.6%、4-6月期が0.4%、7-9月期が0.3%、16年10-12月期は0.2%なので、何とかプラスでもちこたえたというのが現状にようです(※内閣府「2016年10~12月期四半期別GDP速報 (1次速報値)」を参照)。

 アベノミクス開始後、株高の恩恵や円安で儲けた企業もありますが、円安による原材料費の向上に苦しんだ中小企業もたくさんあります。

 食料品が高くなったり、火力発電依存の燃料費の上乗せで電気代が上がったりもしたので、「生活コストが高くなった」と感じている庶民の感覚は経済統計から見ても、実態に近いと言えそうです。

電気代、ガソリン代、食料価格はどうなった?

 これに関しては、総務省が出す「消費者物価指数(CPI)」 のデータに推移が出ています。

 点線が15年、実線が16年なので、資源安に助けられて電気代が下がり、ガソリン代が下落の後、また上がり始めています。食料品は15年に値上がりし、16年は高水準のまま止まっています。

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(出所:総務省「2015年基準 消費者物価指数 全国 平成28年12月分及び平成28年平均」

野菜高騰の脅威 にんじんの値段は二割増し?

 この資料では、平均値を前年比で見た2016年の10大費目の物価の増減が書かれています(以下、%の値はポイントの増減。1%と書かれていたら1ポイント増)。

  • 食料:+1.7%(うち生鮮食品4.6%、その他食料1.2%)
  • 住居:-0.1%
  • 光熱・水道:-7.3
  • 家具・家事用品:-0.4%
  • 被服及び履物:+1.8%
  • 保険医療:+0.9%
  • 交通・通信:-2%
  • 教育:+1.6%
  • 教養娯楽:+1%
  • 諸雑費:+0.7%

 値上がりがはなはだしいのは生鮮食品で、値下がり幅が大きいのは光熱水道費だとされています。

 この資料では、値上がり品の代表として、トマト(+7.5%)とにんじん(+21.4%)が挙げられ、値下がり品の代表で、都市ガス代(-13.7%)とガソリン(-12.3%)が挙げられています。

(※ ↑ 上記は年平均の数字)

 2016年11月のデータを前年同月比で見た場合、生鮮食品の値上がりは+21.6%、生鮮野菜の値上がりは37.3%。

 昨年の台風の続々襲来により、野菜価格が高騰したことが現実のデータにも反映されています。資源安が起き、エネルギー価格が下がったわけですが、これは元の価格が高すぎたとみるべきなのでしょう。

物価の変動はどうなっている?

 一般的な物価の方を見ると、おおむね昨年と近い値で推移しているようでした。

 ※2015年(平成27年)を100とする

  • 総合指数:100.1(※前月比は-0.2%/前年同月比は+0.3%)
  • 生鮮食品を除く総合指数:99.8(※前月比は同水準/前年同月比は-0.2%)
  • 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数:100.4(※前月比は-0.1%/前年同月比は同水準

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(※出所は同じく総務省の「2015年基準 消費者物価指数 全国 平成28年12月分及び平成28年平均」)

 消費者物価指数(CPI)では価格変動が激しい品目(生鮮食品やエネルギー等)を抜いて正確な物価を見積ります。日本ではCPIから生鮮食品の値段を除いたものが「コアCPI」(図2)、生鮮食品とエネルギーの値段を除いたものが「コアコアCPI」と呼ばれ(図3)、物価変動の指標となっています(外国では日本でいう「コアコアCPI」が「コアCPI」と呼ばれるので、日本の呼称と外国の呼称が一致しない)。

そもそも消費者物価指数(CPI)って何だっけ?

 「物価」の変動を計る代表的な指標は消費者物価指数(CPI)です。CPIは588品目のサンプルの値動きを集計して測る指数で、基準とした年の数値から、毎年、どれだけ値段が動いているかを計ります。

 例えば、食料のカテゴリーを見ると「穀類、魚介類、肉類…」と分かれ、「穀類」でもコメとパンとめんで分かれています。パンの品目も区分けされていますが、こうした品目を588個選び、この数値に基づいて、全体的な物価の動きを推測する指数を割り出します。品目の選び方でバイアスは出ますが、このCPIが、物価を見るための指標とされているのです。アベノミクスの柱である金融政策でも、物価上昇を目指す時にはCPIが指標とされています。

 経済活動が活性化した結果として物価が上がるのはよいのですが、何も儲からず、単に輸入した原材料のコストが上がっているだけならば、消費者の生活にしわ寄せが来ますので、あまり望ましくない話です。

 最近は消費者にしわ寄せがくるケースも増えているのですが、物価上昇を目指した金融政策が、今後、日本を豊かにするのか、コスト増をもたらすだけなのか、このあたりに関して、しっかりとウォッチングをしていきたいものです。