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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

どうなる日米首脳会談 安倍ートランプ、麻生ーペンスで「確固撃破」を狙う?

国際 トランプ政権2017 全記事一覧 経済 安倍政権(外交)

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(バームビーチの風景。出所はWIKIパブリックドメイン画像)

  トランプ大統領と安倍首相の日米首脳会談がどうなるかが注目されているので、今回は、2月10日(米国時間)の会談前後のニュースを見る上で、参考になりそうな情報をピックアップしてみます。

 まず、読売朝刊(2017/2/9:1面)を見ると、紙面には安倍首相の訪米日程が以下のように記されています。(※米国時間表記なので、首脳会談は日本時間では11日)

  • 9日:訪米
  • 10日:ホワイトハウスにて首脳会談と昼食会
  • 10日:フロリダ州パームビーチにてトランプ夫妻と夕食会
  • 11日:トランプ氏とゴルフ、夕食会
  • 12日:帰国

 2日間で3度の会合が予定されているので、かなり手厚い内容です。

 毎日朝刊(2/9:1面)では、フロリダ州にあるトランプ氏の別荘に移動する際に安倍首相とトランプ大統領が夫婦で揃って大統領専用機(エアフォースワン)に搭乗し、首相と大統領は最大5回の食事を共にする可能性があるとも書かれていました。

 トランプ氏はビジネスマン時代も商売相手とゴルフをしながら腹を割った話をすることを好んでいたので、同じ手法を会談に取り入れようとしているのでしょう。

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安倍政権の「トランプ攻略法」とは?

『総理』『暗闘』など、安倍政権関連の著書を書いた山口敬之氏が、安倍首相の「トランプ攻略法」に関する記事をZAKZAKニュース(2017/2/8)に公開しています。

 安倍首相の「対トランプ戦略」構築で、最も重要なヒントを与えてくれたのは、3日に来日したマティス氏だ。

(略)

 安倍首相が注目したのは、歯切れのいい発言もさることながら、マティス氏がメディアの前で重要事項を言い切ったことだ(※同盟重視、尖閣防衛が安保第五条の対象であること等)

(略)

 自らの音声がニュースとして流れることで、習近平国家主席率いる中国指導部に直接警告を与える戦略に、強い意志が浮き彫りになった。

 さらに、トランプ氏の過激発言を修正するようなメッセージを、マティス氏が堂々と披露した以上、トランプ氏が相当程度のフリーハンドを与えていることも分かった。

 決定打は、マティス氏が4日、稲田朋美防衛相との共同記者会見で、米軍駐留経費に触れた以下の発言だ。

 「日本は他国にとってモデル(手本)になる」

 日本は駐留経費の75%程度を負担しているが、韓国は40%、ドイツは32%でしかない。他国と日本を混同した批判は不適切だ-と、安倍首相は首脳会談を前に、データを準備して理論武装していた。そうした懸念を、マティス氏が払拭してくれたのである。

 これらを見て、安倍首相は「トランプ氏は強く分かりやすいスローガンを掲げるが、個別政策については信頼できる閣僚に相当任せる」という、トランプ政権の力学を把握した。

 そして、「チーム安倍」が総出となって、トランプ政権のキーマンに一対一で対応する「マンツーマンディフェンス戦略」を決断した。

 目玉は、麻生太郎副総理兼財務相だ。安倍首相-トランプ氏に加え、麻生氏-マイク・ペンス副大統領という強力なパイプを築くことで、トランプ政権の本音に迫り、日本の戦略を多層的に伝えようという狙いだ。

  つまり、要人から日本に有利な発言を引き出し、トランプ氏の過激政策をうまく緩和することを狙っているわけです。

 稲田防衛相がマティス氏から米軍駐留費に関して「日本がモデルになる」という発言を引き出したように、麻生副総理が日本の対米貢献の内実を知っているペンス副大統領から有利な発言を引き出せれば、「安倍ートランプ会談」のほうにもプラスの影響が出てくるからです。これは、外堀を埋めながら本丸を狙う交渉術なのかもしれません。

(※マティス氏の発言は「韓国やドイツ等からもっと駐留米軍の費用負担を引き出す」ことを狙ったものと思われる。「日本をモデル」にすれば、韓独からは駐留米軍費用を引き出すための論理が構築できるため)

 1月27日の訪米日程は消滅しましたが、2月10日に延びた間にマティス訪日が入り、かえってトランプ政権の動き方がよく分かったので、結果的にには安倍首相は首脳会談をやりやすくなったとも言えます。情報不足のまま急ぎ27日に訪米する場合よりは、対策が練れる状態になっているからです。

 山口氏の前掲記事では「トランプ政権は、まず『米国内の雇用増進』に1点集中し、力強い経済成長を実現する。その先に諸外国との2国間通商条約に取り組む」方針で、「2年後の中間選挙をにらみ、雇用という明確な指標を立ち上げ、時間がかかるFTA(自由貿易協定)は後回しにする戦略だ」とも書かれています。

 そして、日米FTAではなく、まずは米国内の雇用創造に日本の官民一体の支援策を用意すべきだ、と提言していました。

 トランプ政権のほうは、経済政策を担うロス商務長官もムニューチン財務長官もいまだ上院で承認されておらず、対外的な経済戦略が本格稼働しにくい状況にあります。

 この状況を考慮に入れれば、まず、分かりやすい雇用創造にプラスになる提案をもちかけるというのは、理に適った話なのではないでしょうか。

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何が首脳会談のテーマになるのか?

 各紙の紙面を見ると、日米同盟と通商問題等が注目されています。

 先日のマティス氏との会談を踏まえて、トランプ政権下での日米同盟のあり方が問われるだけでなく、自動車の輸出入と現地生産、貿易協定(TPP離脱/二国間交渉のあり方)、為替政策(トランプ氏の日本の金融政策批判への対応)等が議論されるはずです。

 これに前節であげたような米国の雇用増につながる日米経済協力のプランが加わるのかもしれません。

 日経朝刊(2017/2/9:1面)では、米国雇用増につながる日米経済協力の一環として「米国へのインフラ投資のほか、ロボットや人工知能(AI)分野での日米共同研究、サイバー・宇宙分野の協力などを打ち出す」とも報じられています。

 同じ紙面を見ると、日清紡ホールディングスが日本企業として初めて、メキシコの新工場計画(自動車のブレーキ摩擦材を製造予定)を白紙にしたとも書かれていました。この首脳会談でトランプ氏が打ち出す通商政策は、今後の各社の海外戦略にも大きな影響を与えていくはずです。

トランプ氏は強硬策と穏健策のどちらを採る?

 同日の日経朝刊3面では、以下の二ケースの日本側の対策が書かれています。

  • トランプ政権が本格的な「自由化」を迫り、為替を含めた対決姿勢で来た場合は全力で応戦する
  • 対中交渉の前座として穏健路線で来た場合には日米連携を謳い、対中国への市場開放圧力をかける

 トランプ氏は不規則発言が多く、動向が読みにくいので、外務省も対応に苦慮しているようなのです。

 しかし、昨年の安倍訪米受け入れや、今回の手厚い訪米日程の組み方を考慮に入れれば、トランプ氏は「ビジネスマン的に胸襟を開いて話し合いをしたがっている」と見るのが筋なのではないでしょうか。

 トランプ氏はツィッターでメキシコを批判して会談をなしにしたように、好き嫌いは非常にはっきりしています。

「強硬路線で日本を叩く」ために10~11日にゴルフ付の三度の食事会を用意するというのは、一人の人間の行動パターンとしては、考えにくい話です。

 過去の発言から考えると、トランプ氏はTPPや自動車貿易、為替に関しては厳しい姿勢ですが、初回の首脳会談で日米協調という枠組を壊しかねないレベルの強硬路線を取ると、先日のマティス氏の訪日時の発言と矛盾が生じ、今度は閣僚との信頼関係に亀裂が生じてきます。

 そのため、今回の首脳会談はところどころで厳しい発言が飛び交うとしても、基本的には日米協調という路線が維持できる範囲で落としどころを定めるのではないかと思うのです。

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