トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

日本の平均年収は420万円 トップ企業とワースト企業の年収格差はどのぐらい?

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(一家団らん:出所はWIKI画像)

 2017年が始まり、今年の年収の伸びについて思い悩んでいる方も多いのではないかと思います。

 確定申告の時期に、諸々のデータを見ているうちに筆者は自分の年収が平均値を下回っていたことに気が付いてしまいました。

 ちょうど税金の手続きを行う時期でもあるので、今回は、暮らしに直結する給料の問題について、政府調査と東洋経済編集部が作成したランキングを並べて考えてみます。

民間給与実態統計調査を見ると平均給与が分かる

 時事通信記事(「民間給与、3年連続で増=平均420万円、15年-国税庁」2016/9/28)では、国税庁の調査で、民間企業の会社員(パート含む)が2015年にもらった給料の平均値が420万4000円と報じられていました。

 その元ネタにあたる民間給与実態統計調査(平成27年度)を見ると、1年を通して勤務した給与所得者数は男性 2831 万人、女性 1963 万人。その平均給与として以下の数字が書かれていました。

  • 男性 520.5万円(対前年比 1.2%増、6.1万円増)
  • 女性 276 万円(同 1.4%増、3.8万円増)
  • 正規 485 万円(同 1.5%増、7.2 万円増)
  • 非正規 170.5 万円(同 0.5%増、8千円増)

 前掲の「男性」「女性」はそれぞれ「正規と非正規」の両方を足した平均値です。正規社員の男性・女性、非正規社員の男性・女性の平均給与は以下の数字になります。

  • 正規男性 538.5万円(1.2%増)
  • 正規女性 367.2万円(2.2%増)
  • 非正規男性 225.8万円(1.7%増)
  • 非正規女性 147.2万円(0.2%減)

 そして、給与階級の分布では、最も多い給与額は、男性の場合、年間給与額 300 万円超 400 万円以下(519 万人:18.3%)、女性の場合は100 万円超 200 万円以下(513 万人:26.1%)とされていました。

※追記:17年春闘の結果

 連合によれば賃金の引上額はベースアップ+定期昇給で平均で月額6200円余。去年よりも70円減額だが、ほぼ横ばい。正社員は平均で月額6270円(前年比-71円)、非正規労働者は時給で平均19円の賃上げ(前年比+0.4円)、月給では4954円増(前年比-180円)。(出所:NHKニュースWEB「春闘 賃金の引き上げ額 ほぼ横ばい」3/17)

非正規給与平均:男女別に見た3年間の推移は?

 全体の給与平均は420万円なのですが、正規・非正規で男女別にみると、年収の違いがはっきりと出てきます。

 時事通信の報道では「パート、派遣社員などの非正規は170万5000円(8000円増)だった」と書かれており、非正規女性だけが0.2%減になったことは省略されていましたが、これは無視すべきではないでしょう。 

 全体の給与平均は、413万6千円(2013年)⇒415万円(2014年)⇒420.4万円(2015年)と三年連続で増えているのですが、非正規社員の給与の伸びはいま一つです。

  • 非正規男性:224万5千円(13年)⇒222万円(14年)225万8千円(15年)
  • 非正規女性:143万3千円(13年)⇒169万7千円(14年)147万2千円(15年)

 非正規男性は1万3000円、非正規女性は4万1千円、正規社員は6.8万円増えていますが、正社員の増え幅もさほど大きくないので、五十歩百歩という見方も出来そうではありますが・・・。

※追記:日経朝刊(2017/2/23:5面)では「厚生労働省が22日発表した2016年の調査によると、フルタイムで働く女性の平均賃金は月額24万4600万円と3年連続で最高となった。男性の賃金の73%となり、男女格差はこの20年で10ポイント縮まった」と報じている。これは16年6月時点で10人以上の常用労働者がいる約5万事業所が対照。残業代や休日手当は含まれていない。

物価上昇率を加味すると実質的な給料は2年で-2% 

 前掲の給与平均を見ると、一見、微増のように見えます。

 413万6千円(2013年)⇒415万円(2014年)⇒420.4万円(2015年)。

 しかし、2015年を100として物価(消費者物価指数:生鮮食品及びエネルギーを除く総合)の上昇率を比べると、給料の伸び以上に物価が上がっています(出所は総務省:2015年基準 消 費 者 物 価 指 数 全国 平成29年(2017年)4月分)。

 両者を2015年を100に換算すると、残念な結果になってしまうのです。

  • 給料:98.3(2013年)⇒98.7(2014年)⇒100(2015年)
  • 物価:96.3(2013年)⇒98.6(2014年)⇒100(2015年)

  2015年の給料を「100%」とした場合、13年は98.3%、14年は98.7%なので、13年から15年までの給料の伸び率は1.7%。物価は3.7%も上がっています。

 物価上昇率を含めて計算すると、日本人の平均給与は-2%。実質値での給料増にはなりませんでした。

2016年の高年収の業界、企業って結局、どこ?

 この種の年収を巡る調査は政府だけが行っているわけではありません。

 例えば、転職サイトのDODAの調査によれば「2016年の平均年収は、前年より2万円アップの442万円」で、「86職種の平均年収ランキング」として以下の順位が公表されています(出所:平均年収ランキング2016(平均年収/生涯賃金))。

  1. 投資銀行業務:777万円
  2. 運用(ファンドマネジャー/ディーラー/アナリスト):773万円
  3. MR(医薬情報担当者):710万円
  4. 経営企画/事業企画:681万円
  5. 知的財産/特許:664万円
  6. セールスエンジニア/FAE:636万円
  7. 法務/ITコンサルタント:627万円

 一方、企業ベースで見たランキングは東洋経済オンラインで毎年公表されています。

 東洋経済社は2016年の5月23日に『最新!「平均年収トップ500社」ランキング』と題して、上場企業約3600社のうち上位500社の平均年収を紹介していました。

 そのうちのトップ層を見たところ、どうも、上位8社のうちメディア関連の会社が5社を占めていました(そのほか、金融系が目につきます)。

  1. M&Aキャピタルパートナーズ:2253万円
  2. GCAサヴィアン:2153万円
  3. キーエンス:1688万円
  4. 朝日放送:1518万円
  5. TBSホールディングス:1509万円
  6. 日本テレビホールディングス:1469万円
  7. フジ・メディア・ホールディングス:1447万円、
  8. テレビ朝日ホールディングス:1433万円

 上位2社はM&Aを取り仕切る企業で、3位のキーエンスは高い技術力で知られる優良企業です。しかしながら、日本の格差問題、貧困問題をテレビニュースや特番で取り上げてきた大手テレビ局の平均年収がこれだけ高額をもらっているのは、皮肉な話です。東洋経済社のデータで言えば、テレビ局社員と後述のワーストランキング下位層の企業との給与格差が1000万円以上になります。

 トップ層のデータを見て、「じゃあ、ランキング上位500番だったらどのぐらいの年収なの?」と思われた方もいるかもしれませんが、500位前後では5社が496番で並んでおり、護衛艦建造などで知られるIHIが平均年収731万円でした。

企業の年収トップランキングを40歳比で見ると・・・

 筆者のブログは30代~40代の閲覧者が多いので、一つの目安として40歳の年収ランキングを見てみます。

 週刊東洋経済オンラインの記事(40歳年収「全国トップ500社」ランキング2016/11/25)では「1000万円超は36社、M&A関連が目立つ」という副題がついています。そして、「上場企業の40歳推計年収」は平均で591万円なのだそうです。そのベストテンは以下の通りです。

  1. M&Aキャピタルパートナーズ:2766万円
  2. GCAサヴィアン:2280万円
  3. キーエンス:1936万円
  4. 日本商業開発:1577万円
  5. ファナック:1474万円
  6. 日本M&Aセンター:1375万円
  7. 朝日放送:1364万円
  8. ドリームインキュベータ:1356万円
  9. 三菱商事:1354万円
  10. 伊藤忠商事:1332万円

 この記事では、「本ランキングで40歳推計年収が1000万円を超えたのは36社と集計対象企業3179社の1%強に過ぎない。単純平均すると40歳推計年収は591万円、平均年収は587万円、平均年齢は39.8歳だった」と結果が総括されています。

 40歳で月100万円以上もらっている人は稀少人種に近く、月40万円もらって月給+αぐらいのボーナスを年二回もらっている人あたりが平均値になるのかもしれません。

50代、60代で「得する会社」ってどこ?

 そのほか、企業別に見た従業員への処遇の調査例を探すと『週刊現代』(2016/10/29)が「50歳すぎて、60歳すぎて『得する会社』『損する会社』」(P44~53)という記事を掲載していました。

  詳細はバックナンバーで見れますが、記事冒頭の要旨では、以下の企業の処遇に注目しています。

  • 三菱商事:60歳すぎても「再雇用で年収500万円」
  • パナソニック:再雇用は契約社員で月収20万円(※年収240万円?)
  • 博報堂:60代以降、企業年金だけで月額20万円。
  • サントリー:65歳定年。60歳から時給が6~7割(平均年収1041万円、P51)
  • 東京海上日動火災:55歳で第一線引退(年収25%減、平均年収891万円、嘱託あり P48)
  • メガバンク:53歳までに役員以外は出向・転籍
  • 日本生命:55歳で出向。2年後に転籍
  • 全日空:50歳以降「転身支援制度」で転職先探し
  • テレビ朝日:50歳で辞めれば「退職金4000万円」
  • 日本テレビ:役職定年55歳、60歳定年、65歳までは雇用延長。平均年収1427万円(P53)
  • NEC:役職定年56歳、65歳まで再雇用制度(給与は56歳時の50%)平均年収834万円(P47)
  • 日本IBM:50歳から転籍(※記事では強要されるとしている)
  • 日産:役職定年50歳、平均年収795万だが、再雇用には熱心でない外資系体質(P47)

 有名100社の現役社員やOBへの取材を行い、かなり細かく調査しています。

 就職活動や転職活動では平均年収のほうに目がいきがちですが、50代、60代の処遇も非常に重要です。同じ自動車会社でもゴーン氏が主導する日産では外資系的で、トヨタ(平均年収852万円)のほうが手厚いようです(トヨタは65歳まで再雇用制度あり。年金は月40万円!P47)。

 今の日本では、退職後の期間が長いので、この差は年収差60万円以上に大きいようにも思えます。 

 この記事はネット版でも公開されているので、興味ある方には一読をお勧めします。 

※50代からの処遇にも要注意

 似たようなテーマでの調査は『ダイヤモンド(2017/4/8)』でも行われており、役職定年の場合、平均値では1109.9万円(2015年年収)⇒882.3万円(2016年年収)へと下がっていると記しています(調査対象者は3300人のビジネスパーソン)。

 そこでは以下の五社の役職定年の現状が紹介されていました。

  • ソニー:役職定年は53~57歳。年収は100~400万減。60歳定年の嘱託は年収250万円
  • 三井住友海上あいおい生命保険:役職定年は55歳。年収は4割減。500~600万程度になる。
  • 東京海上日動火災保険:役職定年の場合、年収1500万円から3割減。
  • 三菱東京UFJ銀行:役職定年は年収三割減。
  • 三井物産:役職定年はないが60歳定年。定年後の嘱託は年収300万円程度。

 平均年収に満たない筆者から見ると、上記5企業は3割~4割減になっても、十分、高収入を得ているように見えます。前掲の平均値も高めなので、調査対象となった3300人のビジネスパーソンも大手企業の高年齢社員あたりをターゲットにしているものと推測されます。

上場企業でも300社以上が平均年収420万円以下

 そして、東洋経済オンラインは、上場企業3600社を対象に「最新!平均年収ワースト500社ランキング」という調査もしているのですが、見ていて社名を上げるのが忍びない気分になったので、ワースト5位の給与平均額だけ書いておきます。

 212万円、246万円、252万円、274万円、276万円。

 上場のワースト企業の給与額は、中型企業の平均年収と大きな差がないのかもしれません。

 この金額をトップ企業のM&Aキャピタルパートナーズの2253万円と比べると、約2000万円の差になります。

 2位のGCAサヴィアンが2153万円、3位のキーエンスで1688万円、8位のテレビ朝日ホールディングスは1433万円なので、千数百万円台の企業だと1000万円以上も差がつくのです。

 そして、日本全体の平均年収が420万円ですが、上場企業でも420万円以下でしか給料を払えていません。

 上場企業ワースト500位のうち、平均年収420万円なのは、326位で並んでいる8社なので、300社以上は420万円以下の平均年収だということになります。

 上場企業でも平均値に届かない企業が多いという意外な結果になっています。

 こうして見ると、年収300万円台の人が結構多いわけです。

「なかなか若い人が結婚しない。子供が増えない」とも言われますが、平均年収を見れば、その理由は明らかです。

 平均年収の420万円に及ばない筆者も、いろいろと冷厳な現実について考えさせられてしまいました。

追記:リーマンショック以前と比べた給料の増減とは?

 そのほか『週刊ダイヤモンド(2017/4/15:P46)』では 、リーマンショック以前と以後の給料の増減を比較しています(2007年度と2015年度の平均年収を比べてランキングを作成。表記は15年度年収〔増減率〕)。

【リーマン前に比べて給料増企業のトップ10】

  1. 福田組(建設業):896万円(+70.7%)
  2. ニトリ(小売業):860万円(+59.4%)
  3. ファナック(電気機器業):1571万円(+56.9%)
  4. トラスト・テック(サービス業):441万円(+55.8%)
  5. イオンフィナンシャルサービス(金融業):722万円(+53.2%)
  6. スタートトゥディ(小売業):579万円(+51.9%)
  7. ジャストシステム(情報・通信):884万円(+49.0%)
  8. ヒューリック(不動産):1295万円(+48.7%)
  9. イオン(小売業):822万円(+45.9%)
  10. ニトリ(小売業):611万円(+44.3%)

【リーマン前に比べて給料減企業のトップ10】

  1. 太平洋金属(鉄鋼業):520万円(-42.2%)
  2. デジタルガレージ(情報・通信):613万円(-34.3%)
  3. ワタミ(小売業):356万円(-33.7%)
  4. 吉野家HD(小売業):662万円(-32.7%)
  5. 井筒屋(小売業):303万円(-31.1%)
  6. ゴールドウイン(繊維製品):433万円(-30.4%)
  7. 日本冶金工業(鉄鋼業):560万円(-29.4%)
  8. 特殊東海製紙(パルプ・紙):622万円(-28.6%)
  9. 九州電力(電気):597万円(-27.6%)
  10. エディオン(小売業):504万円(-26.8%)