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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

中国船4隻が尖閣領海に侵入 海警は16年に何隻入ってきたのか?

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地図出典:外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/

 1月4日の午前10時すぎに中国海警局の4隻の船が尖閣諸島沖の領海に一時侵入したことが報じられています。2017年初めての領海への中国船侵入です。

 NHKニュースの記事(「中国海警局4隻 尖閣沖の領海に一時侵入」1月4日)は、本年初の領海への侵入(前回は12月26日)として報じています。

 沖縄の尖閣諸島の沖合で中国海警局の船4隻がおよそ1時間半にわたって日本の領海に侵入しました。4隻は、領海のすぐ外側にある接続水域を航行していて、海上保安本部が再び領海に入らないよう警告と監視を続けています。

 第11管区海上保安本部によりますと、4日午前10時すぎ、尖閣諸島の魚釣島の沖合で中国海警局の船4隻が相次いで日本の領海に侵入しました。
 4隻は、およそ1時間半にわたって領海内を航行し、いずれも正午までに領海から出たということです。4隻は正午現在、魚釣島の西南西およそ23キロから南西およそ28キロの日本の接続水域を航行していて、海上保安本部が再び領海に入らないよう警告と監視を続けています。

  南シナ海では正月早々、空母が展開しましたが、東シナ海でも、年初から海警の船が尖閣諸島は中国領だとアピールしています。

 NHKの動画では「CHINA CORST GUARD  中国海警」と書かれ、機関砲を備えた船が映し出されています。

 日本国民にとって、いちばんまずいのは、こういう出来事を「よくあることだ」と見て不感症になってしまうことなので、年初に改めてこの問題を取り上げてみます。

中国船の活動には活発化する時期と沈静化する時期がある

8月5日に中国海警の船が尖閣諸島近辺で領海を侵犯した時、接続水域に230隻あまりの中国漁船がいました(※領海は12カイリ内、接続水域は追加12カイリ内の海のことです)。領海侵犯とは別に、230隻もの漁船が迫ってきたことに、驚きを感じた方もいたかもしれません。

 ただ、その後は多少、尖閣から離れた場所で活動しているので、中国の船は、近づいたり遠ざかったりしながら、自国の活動範囲を広げているようにも見えます。

 中国船の活動には熱心に領土アピールをする時期と沈静化する時期があります。いつも多数の船を動員して相手の警戒心を高めるよりも、数に増減の波をつくり、数が減った時に相手を油断させながら、少しずつ、活動範囲を広げることを狙っているのかもしれません。 

 こうした「中国船」の領海侵犯の記録を海上保安庁HPでは整理しています。2012年から15年までのデータを見ると、中国船の活動が波型のグラフを描き出していることが分かるのです(以下、出所は海保HP「尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処|海上保安庁」)。f:id:minamiblog:20160919213104p:plain

 このグラフは2015年までしかデータがありませんが、16年8月~9月で見ても、尖閣諸島近海に迫る中国船の数は変動しています。

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(出所は海保HP「平成 28 年8月上旬の中国公船及び中国漁船の活動状況について」)

15年の中国公船の動きがピークに達したのはいつごろ?

 グラフが15年までと16年8~9月しかないので、海保HPのデータ(中国公船等による尖閣諸島周辺の接続水域内入域及び領海侵入隻数(日毎)平成24年9月以降)を見ると、中国公船等の「接続水域入域」と「領海侵入」の日数とのべ隻数が2016年の1月から12月までで、以下のように推移していました。

【1月】

接続水域入域:12日、のべ34隻

領海侵入:3日、のべ8隻

【2月】

接続水域入域:8日、のべ21隻

領海侵入:2日、のべ5隻

【3月】
接続水域入域:17日、のべ56隻

領海侵入:3日、のべ9隻

【4月】

接続水域入域:25日、のべ82隻
領海侵入:3日、のべ9隻

【5月】

接続水域入域:28日、のべ97隻
領海侵入:3日、のべ11隻

【6月】

接続水域入域:21日、のべ59隻
領海侵入:3日、のべ9隻

【7月】

接続水域入域:21日、のべ59隻
領海侵入:3日、のべ9隻

【8月】
接続水域入域:25日、のべ147隻
領海侵入:6日、のべ23隻

【9月】

接続水域入域:14日、のべ54隻
領海侵入:2日、のべ8隻

【10月】

接続水域入域:9日、のべ29隻

領海侵入: 2日、のべ 8隻

【11月】
接続水域入域:13日、のべ56隻

領海侵入:3日、のべ 12隻

【12月】

接続水域入域:10日、のべ35隻
領海侵入:3日、のべ 10隻

 1月から2月までは中国公船のルーティンになっているのか、数字があまり変わりません。ところが、3月に56隻に増え、4月には82隻にまで跳ね上がりました。

 その隻数を一日あたりで見ると、一定の数で来ることが多いようです。

 1月は2隻か4隻、2月は2隻か3隻、3月は3隻か4隻、4月は3隻か6隻なので、計画された数で接続水域入域と領海侵入のノルマをこなしているように見えます。

 しかし、8月の7~10日に関しては、隻数が異常に増えているので、この期間には何らかの政治的アピールを狙っていたことがうかがえます。

 接続水域入域の隻数を見ると、7日に15隻、8日に14隻、9日に13隻、10日に12隻となっており、この四日間の前後が3~7隻であるのに比べると、やたらと隻数が多いのです。

領土・領海の拡大を狙う「サラミ戦術」に要注意

 中国船の領海侵犯などはよくニュースに出るので、みな、なれっこになっていますが、一度、月あたりの数が減ったと思ったら、忘れたころに猛烈な勢いで増え、少しずつ活動範囲を広げてきます。そのため、これに対応する日本の側は、きちんと数字ベースでその変動を押さえておく必要があります。

 中国はこうした領海侵犯を行う船の数を増減させながら、少しずつ「領海」の拡大を狙ってくるからです。

 中国には陸の国境でも同じようなことがあるらしく、かつて中国兵は国境線の柵を一晩ごとに数mずつ移動させていたことがあったという話を、筆者は元自衛官の方から聞いたことがあります。

 これを海に展開したら、領海侵犯する船の数を増減させて、適度に油断させながら、勢力圏を少しずつ拡大させるという戦術になるわけです。

 こうした、少しずつ切り取っていく手法は「サラミ戦術」と呼ばれています。

 日本国民が油断していると、尖閣近海がサラミのように切り取られることになりかねないので、この問題については、飽きずにアラートを鳴らし続ける必要があるとか思うのです。