トランプ政権と日本・アジア 2017

米国株や為替に影響する時事問題を中心に政治動向をウォッチ。今さら聞けない常識も再確認。

【米国株】トランプ大統領誕生で株価が上がった銘柄はどこ? 金融?ヘルスケア?

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(アトランタにあるホワイトハウスのレプリカ:出所はWIKIパブリックドメイン画像)

  大統領選直後に、ネット上で「トランプ大統領爆誕!」と書いていた人がいましたが、その言葉は、今の世相の雰囲気をよく言い表してくれています。

「トランプショック」「トランプリスク」「大番狂わせ」など、いろいろな言葉が飛び交いましたが、筆者には「爆誕」という言葉がいちばんしっくりきます。

 ダイナマイトのように炸裂するマスコミのアンチキャンペーンの中から当選したトランプ氏がヌッと出てきた感じが伝わってくるからです。

「政治未経験者にアメリカを任せてとよいのか」という批判も根強いのですが、既得権益層が固まれば新しい人材が参入する門戸が閉ざされていきます。トランプ大統領の出現でチャンスが開かれる人たちもいるので、これに関してはやってみないと良し悪しは分かりません。

 いずれにせよ、トランプ氏を米国民が選んだということは、オバマ⇒クリントンという現状維持路線ではなく、リスクを伴う変革を選んだことを意味しています。やはりアメリカ人はリスクテイキングな人たちなんだと思います。

 今日は、この変革の嵐の中で、株価が上昇した銘柄(米国株)に焦点を当ててみます。

ヘルスケアと金融系が伸びた?

 まず、ロイター記事をざっと見てみます(「米国株式は急伸、トランプ氏勝利でヘルスケア・金融などに買い」2016/11/10)

 ヘルスケア.SPXHCが3.4%、金融.SPSYは4.1%それぞれ上昇。トランプ氏は、医療制度改革(オバマケア)の廃止や金融危機後に導入された銀行への規制を緩めると表明している。一方、民主党のクリントン候補は薬価の抑制を主要公約の一つに掲げていた。

 個別銘柄では医薬品のファイザー(PFE.N)が7.1%上昇。iシェアーズ・ナスダック・バイオテクノロジーETF(IBB.O)は8.9%上がった。金融のJPモルガン・チェース(JPM.N)は4.6%高、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N)は5.4%高となった。

  その後の解説が極めて微妙な内容です。

ヴンダーリッヒ・セキュリティーズのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、共和党内の財政保守派がトランプ氏の暴走にブレーキをかけるのは間違いないので、「チェック・アンド・バランス」の機能は今後も働くとの見方を示した

 要するに、トランプ大統領と共和党内にいるアンチ勢力がぶつかるので暴走はないだろう、と言っているわけです。普通、共和党大統領を止めるのは民主党なのに、共和党内にトランプを止める勢力がいるという不思議な構図になっています。

 与党内野党があるのか、トランプ氏が非共和党的なのか、何とも言えませんが、このあたりを見ると、今後は上下両院に「民主党」「共和党」という枠組に加えて「親トランプ議員」と「反トランプ議員」が加わるのかもしれません。

ニューヨークダウでどこが伸びたんだろう。

 ネット記事で「トランプ銘柄」が盛んに紹介されていますが、ヤフーファイナンスでも1月10日に上昇した銘柄は誰でも調べられるので、トランプ氏当選が決まった以上、こちらを見たほうが手っ取り早そうです。NYダウでは以下の銘柄の上昇値が大き目に出ています(2016/11/11:7:30本記事執筆時点のデータ)。

  1. JPモルガン・チェース[JPM]:76.60ドル、前日比+4.57%、前日差+3.35
  2. ファイザー[PFE]:33.46ドル、前日比+4.17%、前日差+1.34
  3. ゴールドマン・サックス[GS]:200.44ドル、前日比+4.05%、前日差+7.81
  4. IBM[IBM]:160.05ドル、前日比+3.38%、前日差+5.24
  5. ユナイテッド・テクノ[UTX] :108.28ドル、前日比+3.31%、前日差+3.47
  6. ユナイテッドヘルス[UNH]:146.30ドル、前日比+3.10%、前日差+4.4
  7. ゼネラル・エレクトリック[GE]:30.51ドル、前日比+2.97%、前日差+0.88
  8. キャタピラー[CAT]:93.49ドル、前日比+2.51%、前日差+2.29
  9. ホーム・デポ[HD]:129.14ドル、前日比+2.48%、前日差+3.12
  10. トラベラーズ[TRV]:109.57ドル、前日比+2.46%、前日差+2.63
  11. スリーエム[MMM] :174.43ドル、前日比+2.37%、前日差+4.04
  12. アメリカン・エキスプレス[AXP]:70.09ドル、前日比+1.96%、前日差+1.35
  13. ボーイング[BA]:147.67ドル、前日比+1.78%、前日差+2.58
  14. メルク[MRK]」64.97ドル、前日比+1.23%、前日差+0.79
  15. エクソン・モービル[XOM] 87.05ドル、前日比+0.93%、前日差+0.8
  16. デュポン[DD] 70.91ドル、前日比+0.90%、前日差+0.63

 こうして見ると、金融系、ヘルス系は確かに多いです。それ以外でも、インフラ系(GEやキャタピラー)、航空+軍事のボーイングも目につきます。

 トランプ氏の政策(金融規制緩和、医療規制緩和、大規模インフラ投資、米軍の再建等)が、ある程度、株価に反映されているように見えます。

NASDAQで急騰した銘柄は?

 本記事執筆時点(2016/11/11:7:00頃)のデータで、NASDAQ内でマネックス証券で買える株に限定してみると、以下の銘柄がベストスリーで出てきます。

  1. ドライシップス[DRYS] 11.90$:前日比+133.33%:前日差+6.8
  2. チューブモーグル[TUBE]13.94$:前日比+81.75%:前日差+6.27
  3. ステムセルズ[STEM]1.19$:前日比+46.91%:前日差:(+0.38)

 ドライシップスって何ぞやと見てみると、これはギリシャのばら積み貨物船(ドライバルク船)の所有企業でした。子会社を通じて、鉄鉱石や石炭、穀物等を運ぶ大型船舶と、ボーキサイトやリン酸塩、鉄鋼製品等を運ぶ小型船を運行しているようです。

 ギリシャの貨物船、海運。大丈夫かな~と思うのですが、「トランプ大統領で資源産業の盛り上がる⇒海運活性化だ!」という読みで株価が上がったのかもしれません。

 そして、チューブモーグルの方を見ると、これは米国にある「動画広告DSP(ディマンドサイドプラットフォーム)プロバイダ」だとヤフーファイナンスに書かれています。「メディア利用者の行動データから趣味・嗜好を推定し、広告を配信する仕組みの開発」なので、動画にペタッとついてくる広告のプロバイダです。

 筆者には、株価上昇の原因がいま一つ思い浮かばないので、多言は避けます。

 ステムセルズって何だろうと見ていくと、これは幹細胞治療薬の研究開発や商業化をする企業なので、医薬品系でした。トランプ当選でお薬系の産業の値上がりの恩恵を受けたのかもしれません。

 NASDAQの値上がりは激しいのですが、株に詳しい人でないと分からない銘柄やハイリスクに見える銘柄も目につきます。もう十分に上がり切ってしまった感のある株は見て楽しんでおく方が無難かもしれません。

 以下、続きを並べてみます(解説余力消滅につき、箇条書き)

  • エンテロメディックス[ETRM] 0.07ドル、前日比+40.00%、前日差+0.02
  • アンコール・キャピタル[ECPG] 26.05ドル、前日比+34.63%、前日差+6.7
  • マンカインド[MNKD]0.62ドル、前日比+31.91%、前日差+0.15
  • スレッシュ・ホールド〔THLD]0.48ドル、前日比+26.32%、前日差+0.1
  • トップ・シップス[TOPS]2.93ドル、前日比+24.68%、前日差+0.58
  • ガレクチン・セラピューティクス[GALT] 0.78ドル、前日比+23.81%、前日差+0.15
  • オサイリス・セラピューティクス[OSIR]6.64ドル、前日比+22.96%、前日差+1.24

 「セラピューティクスって何?」と思われた方もいるかもしれませんが、これは「治療学」(つづりは”therapeutics”)という意味なので、一番下の二社(ガレクチン・セラピューティクスとオサイリス・セラピューティクス)は医薬品関連の企業です。

 ガレクチンという名はガレクチン・タンパク質にちなみ、オサイリス・セラピューティクス社は「創傷、整形外科、スポーツ医学分野向けの治療薬である幹細胞生成物の研究、開発、製造、販売」を行っています。

 エンテロメディックスは医療機器開発会社、マンカインドは糖尿病対策等を行う医薬品企業、スレッシュ・ホールドファーマスーティカルズも医薬品企業(抗がん剤開発等を行う)なので、医療系の企業が伸びています。

 アンコールキャピタルは債権回収サービスを行う金融系企業で、トップシップスはギリシャのタンカー企業です。

 こうして見ると、傾向はNYダウともけっこう重なっていました。