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ゼロからやりなおす「政治と経済」

政治と経済について、いまさら聞けない知識を整理しつつ、ニュースがよりよくわかるデータを紹介していきます。

ヒラリー・クリントンってどんな人?~経歴、発言、政策、資金など~

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(ホワイトハウスのロゴ。出所はWIKIパブリックドメイン画像)

 11/8(20:35)時点の世論調査では11月1日から11月7日の支持率平均が3.2%差(クリントン46.8%、トランプ43.6%)なので、ヒラリー氏が優位を保っています。果たして、初の女性大統領が誕生し、「ガラスの天井」破りがなされるのでしょうか。

 なお、6日にはFBIのコミ―長官がメール再捜査でクリントン氏を訴追しない方針を決めています。

(「『クリントン氏の訴追求めず』、米FBIがメール再捜査で結論」2016/11/7)

コミー長官は6日、大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に公務で私用メールを使用していた問題について、訴追を求めないとした当初の判断を維持すると議会に伝えた。議会宛ての書簡で、コミ―長官は新たに発見された電子メールの捜査が完了したことを明らかにし、クリントン氏の問題に関して「7月時点の結論に変更はない」と説明した。

 ここで、改めてヒラリー・クリントン氏の経歴と主要な発言を振り返ってみましょう。

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今さら聞けない、ヒラリー・クリントン氏の経歴

  • 1947年10月26日:イリノイ州シカゴに生まれる
  • 1969年:ウェルズリー大卒業(学生自治会会長、卒業式で学生代表挨拶)
  • 1971年:イェール大の図書館でビル・クリントンと出会う
  • 1973年:イエール大ロースクール卒業
  • 1974年:弁護士になる(92年まで弁護士として働く)
  • 1975年:27歳でビルと結婚
  • 1979~81年: アーカンソー州司法長官夫人(80年に娘チェルシー誕生)
  • 1983~92年: アーカンソー州知事夫人(91年10月、ビルが大統領選出馬)
  • 1993~01年: 大統領夫人(2000年にヒラリーが上院議員選に立候補)
  • 2001~09年: 連邦上院議員(ニューヨーク州選出)
  • 2007年1月20日:大統領選に立候補(08年6月に撤退)
  • 2008年12月1日:国務長官に指名される
  • 2009年1月21日:第67代国務長官に就任
  • 2015年4月12日:大統領選に立候補
  • 2016年7月26日:民主党の大統領候補として正式に指名される

  ヒラリー氏の正式な名前は「ヒラリー・ローダム・クリントン」。イリノイ州出身でしたが、ビル・クリントンと結婚し、アーカンソー州を地盤に活動していきます。

 弁護士となりたての頃、ニクソン大統領のウォーターゲート事件に関する調査プロジェクトに関わっていた彼女が、後々、ビル・クリントンの不倫や金銭問題の後始末に関わらざるをえなくなったのは運命の皮肉ですが、今回の大統領選でも「お金」と「メール」の問題で苦戦しています。

 ただ、アーカンソー大学法科大学院で助教授を務めたり、1977年にカーター大統領から法律扶助機構理事に任命されたりと、仕事のキャリアは豊富です。州知事夫人の頃にもアーカンソー州教育水準委員会委員長を務めたり、アーカンソー州子供病院や児童防衛基金の理事をも務めるなど、単なる「妻」では収まらない能力を発揮していました。

 ファーストレディーでありながら医療制度改革を提唱したり、養子縁組や里親の制度を改善したり、学童や児童福祉に力を注ぎ、人権の大切さを各国で訴えるなど、幅広く活躍しています。

 上院議員になったファーストレディーはヒラリーが初めてですが、上院では軍事、保社会保障、労働問題、公共事業、 予算などの委員会に参加し、欧州安全保障協力委員も務めています。2001年9.11テロ後にはニューヨーク再建に尽力し、米軍負傷兵、退役軍人、州兵や予備兵の医療と福祉などのために活動しました。

 国務長官時代は、中国と妥協しがちなオバマ大統領とは少し離れた立場に立ち、アジアの同盟国や親米国を訪問し、アメリカがアジアに関わることで中国の軍事的台頭を牽制する「アジア・リバランス」を押し進めています。

過去の発言で今のヒラリーを見たらどうなる? 時にはブーメラン発言?

 まずは、大学を卒業する時のこの発言から・・・。

 ヒラリーはウェルズリー大学の卒業生代表として、ニクソンの政策を擁護した上院議員の前で臆せずに既得権益に染まった政治を批判したのです。

「あまりにも長くこの国の指導者たちは、政治を可能なことを実現する技術として使ってきました。しかしいま、いどまねばならないのは、不可能に見えることを可能にする技術として政治をおこなうことです」(『ヒラリー・クリントン 本当の彼女』P76 ※カレン・ブルーメンタール著。杉本詠美訳)

 果たして、ヒラリー・クリントン大統領が出現したら、いったい、どんな「不可能に見えること」が可能になるのでしょうか。

 現在、自分が逆に学生から指摘される側になってしまったヒラリー氏は、過去の発言をどう考えているのでしょう。

 そして、ビルの大統領選のキャッチフレーズも、今のヒラリーにとって微妙な内容が含まれています。前節を見れば分かるように、筆者は別にヒラリー氏をディスりたいわけではないのですが、これは歴史的な事実なので、仕方がありません。

1「変化か、現状維持か」

⇒ヒラリーはオバマ路線との違いがはっきりしないので、「現状維持」に見える。もはやヒラリー氏は体制側の人間になっており、「変化」から防戦する側ではないのか?

2「経済だよ、愚か者」

⇒アメリカの景気は回復してきているため、民主党政権のマクロ経済政策は成果が出ている。だが、国民の格差は大きいので、十分に国民の不満には答え切れていない。

3「医療保険を忘れるな」

⇒低所得者等はオバマケアの恩恵にあずかっているが「医療保険料が上がりすぎだ。勘弁してくれ」という声も挙がっている。つまり、「もう、医療保険を忘れさせてくれ」というアンチ票も根強い。

 ・・・

 どうも、過去の大統領選と今の大統領選を比べると、今のヒラリー氏はやや微妙な立場にあるように見えます。

 ビル・クリントン氏との夫婦関係の難しさ

 ヒラリー氏の人生を見る上で、若くして知事となり、さらには大統領にまで上り詰めた出世運の持ち主であるビル・クリントン氏との関係は避けて通れません。

「プロどうしで結婚したんだと考えていたんです。医師や弁護士と結婚したとするでしょう? でも・・・現実はそう簡単にはいかなかった。少しも」(『ヒラリー・クリントン 本当の彼女』P142)

 図書館でビルとヒラリーは何度も会い、お互いの顔をよく見ていたので、お互いにこんなに顔を見合っているんなら自己紹介したほうが手っ取り早いとヒラリーが切出し、交際することになりました。しかし、その結婚は非常に困難な道のりでした。

「政治の世界では当選者の妻が有権者にどう映るかということがどれだけ重要か、わたしにはちゃんと理解できていませんでした」(『ヒラリー・クリントン 本当の彼女』P166)

 ビルがアーカンソー州で全米最少年知事になった時、弁護士ヒラリーはビン底メガネをやめ、きちんと化粧をし始めました。そして、ファッションコンサルタントも雇うようになります。

「ずっと家にいて、クッキーを焼いたりお茶を飲んだりすしていてもいいですけど、わたしは自分の職業を全うすることに決めたんです。わたしは夫が公人となる前からいまの仕事についていたんですから」(『ヒラリー・クリントン 本当の彼女』P205~206)

 これは、ビルの大統領選でついつい本音を言ってしまったヒラリーの言葉です。当然ながら、主婦層からの批判を浴びました。

 よかれ悪しかれ、ヒラリーはビルの当選後、注目の的になります。

 ヒラリーが提唱した医療保険制度改革はうまくいかず、その後、ビルのとんでもない不倫が発覚します。ビルは、モニカ・ルインスキーという若い女性とホワイトハウスでいかがわしい行為をしてしまったのです。

 この時、なぜかヒラリーが釈明に追われたのですが、その後、ヒラリー支持率は30%から70%に上昇したとも言われています(岸本裕紀子著『ヒラリーとライス』P209)

「私が政治的伴侶という派生的な役割から一歩先に進み、政治の羽を広げて試そうとしているのを見て、しっかりがんばれと励ましてくれた」(岸本裕紀子著『ヒラリーとライス』P82)

 それは、やはり、ビルには不倫の負い目があるからではないかと思うのですが・・・。 

ファーストレディーから政治家へ

 その後、ヒラリーはニューヨークで上院議員を務め、2008年の大統領選ではバラク・オバマと対決します。

「わたしたちの政治システムのすばらしい点は、誰もが実力で評価されることです」(池上彰『ヒラリー・クリントンの言葉』P20)

 よくよく考えてみると、この言葉は意味深長です。

 現在、まさに、オバマ大統領は本当に「実力」のある大統領だったのかどうかが、今、問われているからです。

「ガラスの天井を打ち砕くことはできなかったが、1800万のひびを入れた」(池上彰『ヒラリー・クリントンの言葉』P4)

 前々回の大統領選でヒラリーは敗れましたが、この宣言は今回の立候補のための友好な伏線になりました。

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ヒラリーは人権問題と経済について、どう考えているのか?

 ヒラリーはもともと弁護士なので、人権問題を非常に重視しています。

「アメリカに人種問題がないと主張する人は、目の前の現実が見えていません」(池上彰『ヒラリー・クリントンの言葉』P74)

「男性の賃金100ドルに対して女性の賃金は77ドルにとどまり、さらに有色人種の女性では67ドルしか支払われていないのが現状です。この問題は決して見過ごせません」(前掲書P71)

 そのほか、女性の妊娠中絶の権利、ゲイの権利の擁護等を主張してきています。

 そして、今回の民主党の大統領候補としての指名受諾演説では、経済問題について以下のように訴えました。

「私の大統領としての主要任務は雇用を創出し、賃金引き上げを実現することだ。最初の百日間で戦後最大の公共投資の実現を目指す。大企業が税控除を受けながら、解雇通知を行うのは間違っており、適正な税負担を求める。金融業界が実体経済を破綻させることは二度と許されない」「サンダース上院議員と協力し、中流階級の大学授業料の無料化の実現を目指す」(クリントン氏の指名受諾演説要旨、読売朝刊7面:2016/7/30)

 このあたりを見ると、かなり内政に力点が置かれていることが窺えます。何しろ、バーニー・サンダース候補の支持者を取り込まなければいけないわけですから。

ヒラリー国務長官はアメリカの「アジア回帰」を主導した

 外交面を見ると、ヒラリー氏には国務長官時代にアジア政策を強化した実績があります。ヒラリー国務長官は『アトランティック』誌のインタビューで、以下のように答えました。(※出典はHillary Clinton: Chinese System Is Doomed, Leaders on a 'Fool's Errand'  JEFFREY GOLDBERG MAY 10, 2011)

「独裁者が人々を虐げるのを防ぎ、戦争を止めるためには、または、渇いた者に水を与え、病人を癒すためには、難しくとも、あなたは理想を信じざるをえません。そして、同時に、実際的、現実的にならなければ、成功を期待することも、現実の問題をどう解決すればよいかも分かりません。だから、私にとって、理想主義と現実主義は「あれか、これか」という関係にあるわけではないのです」(筆者訳)

 これは対中外交等について聞かれた時の返答で、人権問題を批判する理想主義、アジアの抑止力を強化するなどの現実主義の両方が要るという話をしたのです。

 そして、ヒラリー氏は、これを「三匹の熊」になぞらえました。相手国や地域の違いを考え、熊の留守宅に入り、手付かずのスープをちょうどいい温度で飲むゴルディロックス(童話の中の少女)のような首相を取らざるをえないと述べたのです。

わたしは「三びきのくま」主義なんです。熱すぎず、寒すぎず、ちょうどいいところを目指します(池上彰『ヒラリー・クリントンの言葉』P108)

(原文では”my doctrine is the Goldilocks Doctrine – not too hot, not too cold, just right")

 だらだらと中国と妥協を続けたオバマ大統領が途中からアジアの同盟国や親米国の重要性を思い出したきっかけは、ヒラリー国務長官のアジア・リバランス(アジア回帰などと言われます)にあるので、いろいろとヒラリー氏に悪口を言う日本人も、同氏の恩恵は受けています。

 筆者は特にヒラリー氏が好きなわけでも嫌いなわけでもないのですが、全体的に見ると、色々な問題は抱えながらも、大統領候補に選ばれるだけの能力と実績は発揮しているのはないかと思います。

 その中で、ただ一つ欠けているものがあるとすれば、米軍を率いる上で重要な「軍歴」です(なかなか女性政治家にとっては難しいのだろうと思いますが)。

 ただ、2015年5月に米太平洋軍司令官になった日系人のハリー・B・ハリスJr.海軍大将は、2011年10月以降に、ヒラリー国務長官との軍連絡官を務めていたそうなので、同氏は、アジアに展開する米軍の重要性はよく理解しているのではないでしょうか。

 TPPのように国務長官時代の政策を翻す可能性もないわけではありませんが、一応、過去の延長線上の外交・防衛政策を問った場合、日米同盟は維持・強化されるはずです。

 いろいろと見てきましたが、ヒラリー氏については、知っているようで意外と知らない出来事があるものだと感じました。同氏が本当に大統領になれるかどうかは、11月8日(日本時間9日)の投票日で決まりますので、要注目です。

 

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付記:大統領選にはお金がかかる

 16年6月時点でクリントン氏がトランプ氏の32倍もの選挙資金を集めたと言われていましたが「実業家でもないヒラリー候補が、どうやってそんなに巨額のお金を集めたんだ?」という疑問は残ります。

 連邦選挙委員会が9月に公開した情報(FINANCIAL SUMMARY - HILLARY FOR AMERICA)には2015年4月1日から16年8月31日までの収支が出ているのですが、この数字を見ると、3億人国家で1年半もの間、選挙戦を戦うことの意味を思い知らされます。

  • 総収入:3億8634万3313ドル
  • 総支出:3億1791万4036ドル

 日本円で約400億円ものお金を集め、その8割以上を使い切るという壮絶な選挙が展開され、大統領には、そのスポンサーに応えることが期待されるわけです。

 お金がなければ候補者にはなれないことがよく分かるのですが、この戦いは究極のハイリスク・ハイリターンの賭けでもあるので、「誰がどこからお金をもらっているのか」がマスコミやNPOに観察されています。

クリントン氏への最大の献金元はどこ?

 アメリカ大統領選で、どんな組織や有名人が候補者に献金しているか割り出す際には、政治資金管理団体である「スーパーPAC」(政治行動委員会:Political Action Committee)の献金元を調べます。

 アメリカでは、企業や団体等が政党や政治家に直接、献金することが禁じられているので、このスーパーPACを政治献金の受け皿にしているからです。昔は、個人献金の上限が一人あたり年間5000ドルまでだったのですが、2010年の最高裁判決でその制限が撤廃されたので、PACに「スーパー」が冠されるようになりました。

 このスーパーPACの個人献金者は住所付きで一覧となって連邦選挙管理員会のサイトに掲載されています。献金額が数十ドルの無職者から何百万ドルのお金持ちまでずらっと並んでおり、当然、企業や団体なども網羅されているので、マスコミやNPOが目を皿のようにして、この膨大なデータの中から巨額献金者を探しています。

 例えば、"Open secret org"というサイトがつくったクリントン氏への巨額献金者のリストを見ると、1000万ドル以上を献金したベスト5の組織は、ソロスファンドのように、どれも投資を生業としています。

  1. パロマパートナー:1311万1100ドル
  2. ルネッサンステクノロジー:1153万5000ドル
  3. ソロスファンドマネジメント:1054万4000ドル
  4. プリッツカーグループ:1012万5957ドル
  5. サバンキャピタルグループ:1004万9382ドル

 そして、世界三位の家庭品用メーカーのユニリーバ(6位:901万7109ドル)やシカゴのニュース会社であるニュースウェブコープ(7位:801万3500ドル)が続きます。

 その下にいくつかのファンドが続き、有名な映画会社のドリームワークス(15位:202万1566ドル)が出てきました。Laborers Union(労働組合)は17位で献金額は200万6407ドルなので、意外と上位には来ていないようです。

金融、小売、メディア、労働組合、製薬大手、化石燃料業界などが献金?

 クリントン氏への献金元では上位五位が投資をメインにしており、それ以外にも個人ファンドがかなり目につきます。民主党は労働者を代弁しているという建前ですが、労働組合の献金実績はあまりふるわないので、クリントン氏が当選しても看板通りにはいかなさそうです。この金額を見ると、怒れる白人労働者がトランプに入れる背景が伺い知れるような気がします。

 このクリントン氏への献金元に関してはフォーブス誌も記事を書いており、そこでは5位のサバングループを率いるサバン氏がメディアに投資し、「アメリカ・イスラエル公共問題委員会」で講演していることや、スティーブン・スピルバーグ氏が100万ドルをクリントン氏に献金していることなどが紹介されています(The Top Donors Backing Hillary Clinton's Super PAC)。

 フォーブス誌の日本語記事を見ると、献金者として、アリス・ウォルトン氏(ウォルマート創業者の娘)やマーク・ベニオフ氏(顧客管理クラウド大手セールスフォースのCEO)、シェリル・サンドバーグ氏(フェイスブックCOO)、そして、投資家のウォーレン・バフェット氏等が紹介されています(「ヒラリー大統領」を支援する富豪たち、ジョージ・ソロスからスピルバーグまで」

 ざっと見た印象ではメディア界ではクリントン支援が根強く、ユダヤ系の支援も根強いという感じがします。

 その他の情報を見ると、15の大手製薬企業からクリントン氏が献金を受けていることを報じたロイター記事(Clinton outpaces rivals in drug company donations)や、クリーンエネルギー推進をうたいながらもクリントン氏が化石燃料業界から690万ドルの献金を受けていると指摘したグリーンピースの記事(Hillary Clinton’s Connections to the Oil and Gas Industry)などが目につきます。

 9月26日時点で、トランプ氏を支持する大手CEOはゼロで、クリントン氏が8月に「アップルのティム・クック氏、アメリカン航空のダグ・パーカー氏、ナイキのマーク・パーカー氏からそれぞれ2700ドル(約27万円)の小切手を受け取った」と報じたウォールストリートジャーナル日本語版の記事(「米大手100社CEO、トランプ氏に献金ゼロ」)もあります。

 筆者は「組織献金=悪」というほどの潔癖症でも原理主義者でもないのですが、こうしたスポンサーの顔触れを見ると、掲げている政策のなかで実現しなさそうなものが分かったり、選挙後に”リターン”を得るであろう業界がうっすらと見えてくるので、微妙な気持ちになります。

 このスーパーPACの献金元を調べると選挙後の業界の動きが予測できることもあるので、投資に関して大統領選対策に頭を悩ませている方は、一度、この種のデータを調べてみてはいかがでしょうか。

クリントン財団の不法献金疑惑について(11/7加筆)

 クリントン氏への批判の一つに「クリントン財団が企業献金や海外からの献金を受け、国務長官時代に献金元に口利きをしていたのではないか」という疑惑があります。

 例えば、8月12日の産経新聞(5面)では「クリントン財団の幹部ダグラス・バンド氏がクリントン氏の側近に対し、レバノン系ナイジェリア人の富豪、ギルバート・シュゴーリ氏(※クリントン財団への大口献金者)と国務省関係者の間を橋渡しするよう依頼」し、「財団の協力者を国務省で雇うように働きかけ」、バンド氏が「駐レバノン米国大使に話をする」「人事担当者が条件を提示する」等と応じていたことが問題視されています(このメールは公開されたクリントン氏の私的メールの中には含まれていなかった)。

 AP通信も「クリントン氏が国務長官在任時に面会した民間人の過半数がクリントン財団への献金者だったと報じた。面会した85人の献金額は1億5600万ドル(約156億円)に上る」と報じたことを日経(2016/8/28朝刊5面)が紹介しています。

 クリントン財団は海外献金を受け取らないと決めたとも言われていますが、これは「もう、十分に欲しいものは手に入れたから十分だ」という話なのかもしれません。

 クリントン氏の元選挙参謀のディック・モリス氏はヒラリー氏を「腐敗した秘密主義者だ」「ホワイトハウスを離れてからの15年間は金儲けに専念するようになった」「夫婦は講演会などで2億2千万ドルを稼いだが、夫婦の口利きを期待されている点で賄賂といえる」と批判し、トランプ氏を支持すると明言しました(2016/8/14産経朝刊5面)。

 このあたりはかなり怪しいので、ヒラリー候補が大統領になったら、献金元の人たちやその関連業界にどのようなアクションを取るのかが気になるところです。